「隠された日記 母たち、娘たち」を見てきました(11月15日)
オドレイは実家にいるのが落ち着かず、持って来た仕事も手につかないのですぐ近くにある祖父の家に移ることにした。そのうちは祖父が亡くなって以来、だれも住んでいない。そしてそこで台所に食器洗浄機を入れようと古い台所を動かしているうちに古い祖母の料理レシピ帳兼日記帳が見つかる。そこには祖母の社会に出て自分も働きたいという欲望が綴られていた。家庭内で夫や子どもの面倒を見ることだけに満足できず、自分も夫と一緒に働きたいというのだが、当時の社会ではそんなことは夫の体面上できないと言われる。何かしたいルイーズは英会話を習ったり、写真を習ったりするが、ことごとく夫の反感を買いやめさせられる。そしてルイーズは夫と別れて家を出ることを決意する。そしてある日突然彼女は子供たちを残していなくなった。
彼女の二人の子供マルティーヌと弟は彼らを残して出て行った母親を恨むが、マルテーィーヌは母親がいつも言っていた自立した女性になる。そして女医として自立するが、母親への憎しみは消えていなかった。
ところがマルティーヌの娘オドレイが見つけたルイーズの日記を読み、そして母親がいなくなったときのことを思い出し、母親の失踪の真実を理解したのであった。そしてそれはあまりに衝撃的な出来事だった。
1950年代のフランスでは女性が社会にでて働くということが認められていなかったが、家庭の中に閉じこもって夫と子どもの世話に明け暮れる生活に耐えられなかったルイーズの生き方に共感しました。彼女は自立への旅に出ようとしていたのだが、夫はそれを許さなかった。
一方孫娘のオドレイはキャリアウーマンとしてカナダで働いている。そして彼女は子供の父親トムとは一緒にやって行けないと思っている。
オドレイの母親マルティーヌは彼女の母親ルイーズが自分たちを捨てて出て行った思い込んでおり、母親への屈折した憎しみの虜になっていて、娘との関係もぎこちない。
女3人それぞれが悩みながら生きてきた話だが、3人とも幸せな人生を送ることができなかったという点が共通しているのは残念だ。
「隠された日記 母たち、娘たち」 2009年 フランス/カナダ 104分