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「エクレール お菓子放浪記」を見に行きました(7月25日)

「エクレール お菓子放浪記」を見に行きました(7月25日)_d0021786_14514515.jpg今日は朝から寒気と暖気がぶつかり合って梅雨末期のような激しい雨が午前中断族的に降っていました。そんな中、名演小劇場へ「エクレール お菓子放浪記」を見に行きました。

映画の舞台は昭和18年の東京。早くに両親を亡くしたアキオ(吉井一肇)は孤児院に入れられるが、何度も脱走し、感化院送りになる。そして感化院では教師の暴力により、一緒に入った仲間がアキオの罪をかぶって井戸に吊るされて殺されてしまう。そんな感化院でアキオは女性教師陽子(早織)がオルガンを弾きながら歌う「お菓子と娘」の歌に聞きほれ、もう一度歌ってくれと頼む。この歌を歌っていると本当にお菓子を食べているような暖かな気持ちになるのだった。

しかし、北海道に住む陽子先生のお母さんの具合がよくないということで、北海道に帰ってしまった。陽子先生が北海道へ帰るときアキオに「お願いがあるの」と言う。それは「あなたがお菓子になって、みんなの心をやさしい気持にしてあげて」ということだった。

そしてまもなくアキオも野田フサノ(いしだあゆみ)に養子として引き取られる。野田フサノはお金がすべてという考えで、アキオを次の日から映画館で働かせる。だがアキオは初めての家庭というものに喜んでいた。

映画館ではいくつかの映画館でフィルムを廻して使うので、それを自転車で運ぶのがアキオの仕事だった。北海道の陽子先生からはお菓子の作り方の本が送られてきた。その中に歌に出てくるエクレールの作り方ものっていた。ところがアキオがけがをして働けなくなったことをフサノがなじったことをきっかけに、アキオは家を飛び出した。

そして、旅回りの芝居一座の小間使いとして働くことに。芝居をしながらあちこちと巡り歩くのだが、時代の波は容赦なく彼らを襲い、「金色夜叉」も未婚の男と女が海岸を散歩するなどけしからんと警察官に禁止を命じられる。ところが観客と一体となって、警察をだまし「金色夜叉」を演じる。そしてついに一座の花形女形に召集令状が来、それを苦に彼は自縊してしまう。警察に届けねばならず、もう一人のメンバーも脱走兵であるので逃げなければならなくなり、劇団は解散することになってしまった。

アキオは行く当てもなく川に浮かんで「お菓子と娘」の歌を歌っていた。それを見つけた孤児たちのグループに入り、リーダーとなる。東京大空襲で、彼が孤児院を脱走してうろついていた時、アンパンを二つもくれた刑事、映画館の女主人も亡くなっていた。そして結婚した陽子先生が住む広島に原爆が落とされた。

陽子先生はフサノを訪ねてきて、アキオの事を聞くが、フサノは知らないと嘘を言うが、陽子先生は、アキオはきっと生きていると言い、何日かフサノのうちに泊めてもらうあちこち捜し歩くのだった。そしてフサノは陽子から手紙に綴られたアキオのフサノへの気持を聞かされ、上野に行けばアキオに会えると教える。

アキオたちの孤児グループは、パンパンの女性たちにも米軍からもらった物資を融通してもらいそれを売って何とか生活していた。そして上野公園でのど自慢があるので出たらどうだとすすめられる。優勝すれば米1俵がもらえるというので参加するのだが‥‥。

戦中、戦後をたくましく生き抜いたアキオと彼を取り巻く人たちのやさしさがあふれる映画でした。フサノがひったくりにあって、それでも財布を離そうとせずに自転車に引きずられていくあの時代(今でもひったくりはよくあるけど)、パンパン同士の縄張り争い、女一人で生きていくフサノがお金に執着しなければならなかった時代、そんな時代でもお菓子は束の間いろんなイヤなことを忘れさせて、幸せで暖かな気持ちにさせてくれるものでした。

主役のアキオを演じた吉井一肇君の歌声がとてもきれいでした。陽子先生の早織の歌う「お菓子と娘」もとても良かったです。

「エクレール お菓子放浪記」 日本2011年 105分 原作:西村滋 監督:近藤明男
出演:吉井一肇、早織、高橋恵子、林隆三、いしだあゆみ、尾藤イサオ他
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by irkutsk | 2011-07-25 14:51 | 映画 | Comments(0)