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「少年と自転車」を見に行きました(5月9日)

d0021786_12511416.jpg伏見ミリオン座へ「少年と自転車」を見に行きました。
この映画は、ダルデンヌ監督が2003年に来日した際に聞いた「赤ちゃんの頃から施設に預けられた少年が、親が迎えに来るのを屋根に上って待ち続けていた」という衝撃的な話に着想を得て作られたものです。

映画では父親に捨てられ、施設に預けられたもうすぐ12歳になる少年シリルが主人公です。彼は、父親は必ず自分を迎えに来ると信じていました。児童相談所の職員に以前住んでいたアパートに何回も電話をかけてもらい、管理人にも電話をかけてもらうのですが、父親は引っ越して、行方はわからないままでした。また、父親に買ってもらった自分の自転車があるはずだからそれを取りに行くのだと言ってシリルは相談所を抜け出し、父親と住んでいたアパートに行き、「パパ!パパ!」と叫びながら激しくドアをノックしますが、隣の住人に「うるさい!」と怒られます。相談所の職員がシリルを連れ戻そうとやって来て、シリルはアパートの1階にある診療所に逃げ込みます。そこで逃げようとして一人の女性サマンサにぶつかります。これが運命の出会いで、彼女は彼がどうしてこのアパートにやってきたのか事情を聞きます。

そして数日後、サマンサはシリルの自転車を見つけ出し、持って来てくれました。自転車は父親がガソリンスタンドに「子ども用マウンテンバイク売ります」という貼紙をして売り払っていたのでした。サマンサは売られた自転車を買い戻して児童相談所へ届けてくれたのでした。シリルは帰っていくサマンサの後を追いかけ、週末だけ里親になってくれないかと頼みます。

そして週末、美容院を営むサマンサとの生活が始まります。シリルは父親を探したいとサマンサに助けを求め、彼女も父親の行方を捜します。そしてようやく父親の居場所がわかり、彼が働いている店を訪ねていくのでした。そしてシリルは週に1回会いに来て欲しいと頼むのですが、「行けない」とつれれなく断る父親。「いつか僕を引き取りに来てくれるよね」と聞いても「お金がないからダメだ」と断わられる。その上「もう店には来るな」と言われます。

そしてある日、彼の自転車が盗まれ、犯人を追っていくうちに不良仲間のアジトへ入り込む。そこで意外にも彼は不良のリーダーに見込まれ、彼のうちまで連れて行かれ、プレイステーションをやらせてもらったり、食べ物を買ってくれたりと親切にされるのだった。ところがそのうち彼は自分が勤めている店の主人を襲って金を奪うようにシリルを唆し、シリルも断わりきれずに実行することに。

サマンサが必死に止めるのも聞かず、シリルは夜、うちを飛び出していく。そして強盗は成功するのだが……。

父親がなぜ実の子どもなのにあんなにシリルを遠ざけるのか。自分が働いている店にも来るなと厳しく言う。それに引き換え何の関係もないサマンサがなぜこうもシリルのことを熱心に面倒を見るのか。恋人に「俺をとるのかこいつをとるのか」と迫られ、「この子をとるわ」と言って恋人とも別れてしまう。

映画はなんとも尻切れトンボのような終わり方をしたのだが、この後シリルとサマンサはうまくやって行けたのだろうか。シリルの心の動きが実にうまく描かれている映画でした。信じきっていた父親に裏切られ、やさしくしてくれた不良にも裏切られ、でもサマンサにだけは裏切られず、彼女はシリルのことを信じてくれた。人と人とのつながりについて考えさせられる映画でした。

第46回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品です。

「少年と自転車」 2011年ベルギー・フランス・イタリア 87分 監督・脚本 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンス 
出演 セシル・ドゥ・フランス、トマ・ドレ、ジェレミー・レニエ、オリヴィエ・グルメ他
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by irkutsk | 2012-05-10 12:51 | 映画 | Comments(0)