「ジョゼと虎と魚たち」を見に行きました(7月15日)

d0021786_17583644.jpgキノシタホールへ「ジョゼと虎と魚たち」を見に行きました。
この映画は田辺聖子の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」を映画化したものです。

大学生の恒夫(妻夫木聡)は、深夜に麻雀屋でアルバイトをしている。客の話題は、最近近所で見かける謎の老婆のこと。決まって明け方に乳母車を押して歩く老婆が乗せているのはミイラか? 札束か?はたまたヤクか……。明け方、麻雀屋のマスターに犬の散歩を命じられた恒夫は、坂の上から乳母車が走ってくるのに遭遇する。乳母車はガードレールにぶつかって止まる。恒夫が近寄り、中を覗くと、包丁を握り締めた少女(池脇千鶴)がいた。恒夫は危うく刺されそうになるが、間一髪で難を逃れる。乳母車の中身は、老婆の孫だった。彼女は原因不明の病で歩けないという。老婆は近所に孫の存在を隠して暮らしており、夜明け間もない時間に乳母車に乗せて散歩させていた。

そのまま恒夫はふたりの家に連れて行かれ、朝食をごちそうになる。こうして、恒夫と脚の不自由な少女は出会った。恒夫が少女に名前を尋ねると、サガンの小説『一年ののち』に出てくる女の子の名前、「ジョゼ」と名乗った。恒夫は、不思議な存在感を持つジョゼに興味を持つ。一方で恒夫は、同じ大学ののり子と関係があり、かつ同級生の香苗(上野樹里))にも好意を持っている。福祉関係の就職を希望している香苗との会話のネタに、脚の悪いジョゼのことを話すが思うように関係は進まない。

ジョゼのことも気になる恒夫は、しばしば彼女の家を訪ねる。ジョゼの部屋には祖母がジョゼのために拾ってきた様々なジャンルの本がある。その中から、恒夫が抜き出した一冊が、フランソワーズ・サガンの『一年ののち』。いつもそっけないジョゼが、その本の続編を読みたいと強く言う。恒夫は既に絶版となっていた続篇『すばらしい雲』を古本屋で探し出し、プレゼントする。

恒夫の計らいで国の補助金がおり、ジョゼの家の改築工事が始まった。完成が迫ったある日、突然、香苗が見学に訪れ、恒夫は戸惑う。「彼女? 恒夫くんが言っていた、すごい元気な女の子」。押入れの中でふたりの会話を聞きながらうつむくジョゼ。その日の夜、再び恒夫はジョゼを訪ねる。ジョゼは泣きながら本を投げつけ「帰れ!」と叫ぶ。恒夫は祖母に、もう二度と来ないようにと釘をさされる。

数ヵ月後。就職活動中の恒夫は、ジョゼの家の改築工事をした会社の見学へ。工事で知り合った現場主任から、ジョゼの祖母が急逝したことを知らされ、会社見学を放棄し、恒夫はバイクにまたがってジョゼの家へと急ぐ。ジョゼは静かに恒夫を家に招きいれる。お葬式から最近の暮らしぶりまで、淡々と語るジョゼだったが、恒夫がジョゼの行動に口をはさんだ途端、「帰れ」と叫び、本当に帰ろうとする恒夫に『帰れと言われて帰るような奴は帰れ!』わめきながら恒夫の背中を殴り始める。その怒鳴り声はいつしか泣き声に変わり、やがてふたりはお互いの存在を確認しあうようにひとつになる。ジョゼにとってははじめての経験だった。

恒夫とジョゼは一緒に暮らし始める。ジョゼの家に運び込まれる恒夫の荷物。部屋が変わっていくのを不思議そうに見回すジョゼ。「ずっと一緒にいような」と恒夫が言う。ジョゼはぼんやりと空を見つめて微笑む。恒夫は、徐々にジョゼのことを知っていく。ジョゼは以前児童養護施設にいて、ある日幸治と二人で逃げ出したのだと言う。そして幸治に「あんたのお母さんになってやる」と言ったのだという。

ジョゼと恒夫は動物園に行って虎を見る。ジョゼには夢があった。いつか好きな男の人ができたときに、世の中で一番怖いもの、虎を見る、という。檻の向こうで吼える虎と、怯えて恒夫の腕にしがみつくジョゼ。それを見ながら恒夫は優しく笑う。

しかし恒夫とジョゼとの生活は1年余りで終わりを告げてしまう。恒夫が引いてしまったのだ。だが映画ではそのいきさつは一切なく、恒夫の独白の一言で片付けられてしまっていた。なぜ恒夫が引いてしまったのか、そこのところがもうす少し知りたかった。そうでないと、再び香苗とよりを戻した恒夫はいかにも軽薄な男というイメージになってしまう。香苗とデートしながらジョゼのことを思い出して泣き出してしまい、もう二度と彼女とは会うことはないだろうと思う恒夫だった。それに引き換えジョゼは一人で電動車いすに乗って買物も一人で行けるようになり、たくましく生きているというラストシーンだった。

「ジョゼと虎と魚たち」 2003年日本 116分 監督:犬童一心 出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新井浩文、新屋英子ほか
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by irkutsk | 2012-07-15 17:58 | 映画 | Comments(0)