「天と地の守り人-第三部新ヨゴ皇国編-」を読みました(2月5日)

d0021786_11315655.jpg北の大陸にある4つの国のうち一番南にあるサンガル王国は南の大陸のタルシュ帝国の枝国となり、タルシュ帝国は次に新ヨゴ皇国を攻めようとしていた。

新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは父に追われ、タルシュ帝国に捕らえられるが、船から海に飛び込み、何とかロタ王国の海岸へたどり着く。そしてタルシュ帝国を打ち破るには北の大陸の国々が同盟を結んで共に戦う以外に勝ち目はないことをロタとカンバル王国の二人の国王に訴えるのだった。

一方ロタ王国では、南の領主たちが、タルシュ帝国と組んでロタ王国を我が物にしようとしていた。カンバル王国も南の領主たちを支援することを約束していた。ところがそれはタルシュ帝国の長男ハザール王子とその密偵たちによって仕組まれた罠だった。チャグムはロタ王の親書を持ってカンバル王に会い、ロタとカンバルの同盟を成立させた。

そして今まさに新ヨゴ皇国に迫り来るタルシュ帝国軍と戦うために自ら両国の兵士を率いて新ヨゴ皇国へ向かうのだった。

タルシュ帝国では長男ハザール王子は北の大陸攻略の手柄を弟のラウル王子に独り占めにされたくない思いから、ロタ王国の南の領主たちとカンバル王を結びつけロタ王に対抗させようとしていた。そしてそのための軍勢をこちらに割いてくれるようにラウル王子に頼むのだが断られ、またチャグムによってタルシュ帝国の目論見が明らかにされ、その作戦は頓挫した。

タルシュ帝国軍は新ヨゴ皇国のタラノ平野の戦いで、圧倒的な勝利を収め、都の光扇京を目指していた。そこへロタとカンバルの軍勢を率いたチャグムがやってきて、タルシュ帝国の軍勢を打ち破る。そして光扇京に入城し、父の帝とも対面する。チャグムはもう一つの世界(異界)のナユグに春が訪れ、それがこちらの世界にも影響を及ぼし、山の万年雪が融けだし洪水になるので高台へ避難するようにというが、自分は天の子だから大丈夫だと言って残った。他のものが高台へ避難することは認めたので、多くのものは命を救われた。

そして洪水が起こったとき、ちょうど東側からやって来たタルシュ軍が都へ攻めてきており、彼らはチャグムの軍と洪水で壊滅したのだった。

この戦いに草兵として狩り出されていた薬草師であり、バルサの幼なじみのタンダは、タラノ平野の戦いで負傷していた。バルサは彼を探しにタラノ平野へ行き、負傷者を助けている村でタンダと再会する。だがタンダの左腕は壊疽が進み、このままでは命が危ないと見たバルサはタンダの左腕を自ら切断する決意をする。そのおかげでタンダは生き延びることができた。

架空の北の大陸の国々とそこの民、そして重なるように存在しているもう一つの世界。その世界との間をつなぐことができる民。南の大陸のタルシュ帝国の二人の王子と、その下で働く密偵たち。何よりも一冊ごとに新ヨゴ皇国の皇太子チャグムの成長していく姿がすばらしかった。短槍使いのバルサの強さとやさしさも読者にとっては頼もしいものだった。物語に出てくるいろんな人たちが、一生懸命生きている姿には勇気づけられるものがあった。読み応えのあるシリーズだった。

「天と地の守り人-第三部新ヨゴ皇国編-」 上橋菜穂子著 新潮文庫 2011年6月1日発行 590円+税
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by irkutsk | 2014-02-05 11:32 | | Comments(0)