「高校大パニック」を見に行きました(2月5日)
福岡市内で中州高校三年の生徒・田中がビルの屋上から飛び降り自殺した。翌日、マスコミの攻撃から学校の体面を守ろうとする校長は、全校生徒に田中の自殺の無意味を説く。田中のクラスの3年7組は沈黙に包まれたが、担任の数学教師・伊原は何事もなかったように授業を始めようとする。生徒の一人がこの時間はホームルームの時間だから、今日ぐらい田中の自殺のことを話し合ってもいいのではないかと提案するが、まったく取り合ってもらえず、数学の授業をしようとする。そんな態度に激昂した城野安弘は伊原を殴り倒して学校を飛びだし、銃砲店に押し入って一丁のライフルを手にして戻ってくると、伊原をライフルで射殺。更に校内で発砲し、学校は血の惨劇の舞台と化した。女生徒を人質に取った城野は学校と警察を相手に、銃撃による攻防戦を展開する。
最初は生徒10名あまりを人質に図書室に立てこもっていたが、女子生徒二人を連れて別の場所へ移動する。そして別棟の屋上にあった化学室へ同じクラスの村上美穂子を連れてたてこもる。県警特捜課長の栗田は城野射殺の決断を下す。ところが折からの雨と化学室の薬品をひっくり返して発火した煙で、射撃手は誤って人質の村上菜穂子を撃って殺してしまう。最後は城野が突入した警官隊に捕らえられる。そしてパトカーに乗せられるのだが、「来年受験しなければならないんだよ」「ラジオ講座を聞かなければならないんだよ」と叫びながらパトカーに押し込められるのが印象的だった。校長は教頭に明日授業ができるようにするようにと命じるのだった。
受験競争に高校が巻き込まれていた時代の映画だが、今の状況とまったく変わっていない。この頃は受験、受験の教育体制に疑問を抱く教師や生徒もいたが、今はそういう生徒もめっきり少なくなってしまった。受験競争に巻き込まれた高校教育に警鐘を鳴らした映画だったが、状況はますますひどくなっているようだ。
「高校大パニック」 1978年日本 94分 監督:石井聰亙, 澤田幸弘 出演:浅野温子, 内田稔, 山本茂, 江角英明ほか