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「朽ちた手押し車」を見てきました(7月9日)

d0021786_1892819.jpg三國連太郎、唯一の未公開作品。30年のときを経て「発掘」遂に「公開」といううたい文句に誘われて、名演小劇場へ「朽ちた手押し車」を見に行きました。

舞台は昭和54年の富山県朝日町。元漁師の80歳の老父・安田源吾(三國連太郎)は痴呆で、異常な食欲をみせ、飯を5杯もお代わりし、それでも足りなくてもっとくれという。トイレの場所も分からず、家の中でかまわず放尿する。そんな源吾の面倒を見るのは妻のトミ(初井言榮)。長男・忠雄(田村高廣)とその妻・みつ(長山藍子)、そして孫の高校生・信子の5人で暮らしていた。

トミは日ごとに進行していく源吾の痴呆にもっとも哀れを感じていた。ある日、7年ぶりに東京へ行っていた次男・弘(誠直也)が帰ってくる。東京で何かあったらしく、しばらくこちらで暮らすという。妻と子どもが眠る寺を訪れた彼を、この寺の住職の義理の娘である看護婦の早苗(志和慶子)が迎える。源吾に反発して家を飛び出した弘だったが、帰る場所はここだった。

そんな折、源吾を連れて散歩に出ていたトミが突然倒れた。病院の医師(下条アトム)にトミの病気は筋萎縮性側索硬化症だと言われ、今の医学では原因も分からないし、有効な治療法もない、余命は半年と告げられる忠雄は、他のものにはこのことは言わないで欲しいと口止めをする。そして一人悩むのだったが、トミの病状は日ごとに進行し、苦しむ母の姿を見かね、担当医に早く楽にしてやってくれと迫るのだった。

昭和54年当時の老人問題の現実をリアルに描き出した作品である。現在であればもう少しちがった状況になっていたかもしれない。三國連太郎の演技が素晴らしかった。当時61歳の三國は80歳の老人を演じるために毎日2時間以上かけてメイクし、失禁や徘徊の場面を演じる入魂の演技が圧巻である。「朽ちた手押し車」というタイトルにもなっている手押し車はトミが愛用していたものだった。豪華キャストと三國の演技が光る作品であるが、テーマは重いものだった。

「朽ちた手押し車」 1984年日本 134分 監督・脚本:島宏 出演:三國連太郎、田村高廣、長山藍子、誠直也、初井言榮、たこ八郎、下条アトムほか
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by irkutsk | 2014-07-09 18:09 | 映画 | Comments(0)