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「最愛の子」を見に行きました(2月1日)

「最愛の子」を見に行きました(2月1日)_d0021786_10563082.jpg名演小劇場へ「最愛の子」を見に行きました。

2009年7月18日。中国・深圳。下町でさびれたネットカフェを経営しているティエンは3歳の息子ポンポンと二人暮らし。ポンポンは週に一度、離婚した元妻のジュアンと過ごしていた。ある日、近所の子どもたちと遊びに出かけたポンポンは、母親の車が通りすぎたことに気づき、あとを追う。だが母親の車を見失ったポンポンを、何者かが連れ去ってしまう。

夜になっても帰ってこないポンポンの捜索願を出すべくティエンは警察に電話するが、警察は「失踪後24時間は事件として扱えない」という。自力で捜そうと、駅に向かうがポンポンは見つからなかった。その後訪れた警察署で見た防犯カメラの映像には、男がポンポンを連れ去る姿が映っていた。署を出る際、ジュアンは「息子を返して!」と泣き叫ぶ。

その日から、ティエンとジュアンの息子探しが始まった。インターネットで情報提供を呼びかけ、携帯電話番号も公表するが、かかってくるのは、報奨金目当ての詐欺かいたずらの電話ばかり。脅して金をせびりとろうとする者まで現れる。

罪の意識と後悔にさいなまれながら、ポンポンを捜し続けるティエンとジュアン。ポンポンの失踪から3年が経った2012年の夏のある日、ティエンの携帯に着信が入る。ポンポンと見られる男の子が安徽省にいるという。安徽省の農村を訪れたティエンとジュアンはついに息子を見つけ出すが、6歳になったポンポンは両親であるティエンとジュアンを全く覚えていなかった。

ポンポンが「母ちゃん」と慕うのは、ホンチンという“育ての親”だった。ホンチンは「私が子供を産めないから、夫がよその女に産ませて3年前に連れてきた」と主張するが、一年前に死んだ彼女の夫がポンポンを誘拐し、安徽省に連れてきたのだった。初めて知らされる事実に困惑するホンチン。

それから半年後、ティエンとジュアンは、いまだに「家に帰りたい」と言うポンポンの愛情を何とか取り戻そうと、日々心を砕いていた。そしてホンチンもまた、わが子を奪われた母として、深圳へと向かう。それぞれの親たちの思いは、届くのだろうか…。

「八日目の蝉」と同じような内容かと思っていたが、全く違っていた。中国社会の一人っ子政策に翻弄される人たちがリアルに描かれていた。深圳の工事現場で働いていたホンチンの夫は工事現場に捨てられていた女の赤ちゃんも拾ってきて、ポンポンの妹として育てていた。その子も捨て子を拾ってきたという証明がないと返せないと言われ、ホンチンは深圳へ出て夫が働いていた建築現場に行って同僚に証言を頼むのだが…。いざこざに巻き込まれたくないこの男は最初は捨て子だったと言っていたが、後になってそんなことは言っていないと言う。ホンチンは彼に泊まっている宿を教え、今夜来てくれと言って帰る。そして夜、その男が来て、ホンチンは証言してくれればお金を払うと言うが、彼は断る。ホンチンは「泊っていってもいい」と言って、彼に身を任せ、証言してもらう。それが結末で彼女の最後の希望を打ち砕く結果になるのだった。

一方、ジュアンはポンポンが妹を心配しているのを知って、女の子を養育院から引き取ろうとする。ホンチンはせめて女の子だけでもと弁護士を頼み、引き取ろうとする。そして調停の場で、ジュアンは現在の夫と離婚協議中だということが明らかになり、両親そろってないと養子をとることができないと言われる。ホンチンは女の子を引き取ることができると喜んだのも束の間、彼女は妊娠していることが分かった。女の子を引き取るために証言を頼んだ男に、見返りとして身を任せた1回だけの行為が、そして自分は子どもができない身体だと思っていたのに…。

一人っ子政策の中で多くの親たちは、二人目の子どもをあきらめていた。しかもその一人っ子が誘拐されるという事件が頻繁に起きている。昔、日本でも「一人で知らないところに行くと、人さらいに連れていかれる」と言われていたが、中国ではまさに今もそれがある。そして工場で児童労働に使われているという実態もある。

「最愛の子」 2014年中国・香港 130分 監督:ピーター・チャン 出演:ヴィッキー・チャオ、ホアン・ボー、トン・ダーウェイ、ハオ・レイ、チャン・イー、キティ・チャンほか

「最愛の子」公式サイト
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by irkutsk | 2016-02-01 18:54 | 映画 | Comments(0)