名古屋外国語大学の講演会に行きました(7月16日)
「サンフランシスコ体制と尖閣・竹島・北方領土」の過去・現在・未来について、米国公文書研究などをに基づいて研究され、その解決策として二国間の交渉ではなく、多国間交渉により解決するのがより実現可能性があるのではないかと、ヨーロッパの国境画定交渉のヘルシンキ合意の東アジア版を提案していました。
サンフランシスコ講和条約で日本は過去の植民地のすべてを放棄し、北海道、本州、四国、九州とそれに付随する島々だけが日本の領土となりました。ところがこの条約には日本が放棄した島々がどこの国に帰属するのかは、当時の冷戦が始まった状況から書かれなかった。
また日本と近隣諸国の間に領土問題を残しておくというのは、アメリカの戦略で、日本がソ連と歯舞、色丹返還で平和条約を締結しようとしたとき、当時のアメリカの国務長官・ダレスは日本が歯舞・色丹返還で平和条約を結ぶなら、沖縄は永久に返還しないと恫喝し、日ソ平和条約は結ばれませんでしたし、北方領土も4島一括返還以外は認められないということになり、日ソ(日ロ)の領土交渉は全く進展することがありませんでした。
また冷戦終結後も、サンフランシスコ体制は変容したけれども、崩壊はしていない、東アジアが平和的に安定すればアメリカとしても軍事費を削減することができるという考えがある。
個人的には北方領土について2島(歯舞・色丹)+αでロシアとの平和条約を締結し、中東の石油、天然ガスの比率を下げるためにも、ロシアの天然ガスを輸入し、シベリア開発に資本投下し日ロの経済交流の拡大を図るべきではないかと思います。
竹島は韓国が実効支配しており、尖閣は日本が実効支配しているので、あえて問題にせず、現状のままでいいのではないか。
原貴美恵さんの提案する多国間の協議による解決というのは、現状では難しいと思います。