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「活版印刷三日月堂」を読みました(4月7日)

d0021786_5484580.jpg舞台は埼玉県川越市。川越運送店に勤めるハルさんは、同じ店に同居している観光案内所の柚原さん(三十代後半だがスタイルもよく20代に見られる)とアルバイトの大学院生・大西君とガラス店兼工房を経営している葛城さんと4人で毎日ジョギングをしていた。

ジョギング中のある日、三日月堂という活版印刷の店に電気がついているのを見つける。三日月堂は5年くらい前に閉店し、その後店主夫婦が亡くなって空き家になっていたのである。不思議に思って覗いていると、中から人が出てきた。

弓子さんである。彼女はこの印刷所を経営していた老夫婦の孫娘で28歳である。彼女とハルさんが初めて会ったのは、ハルさんが川越運送店で働き始めた頃で、弓子さんが小学校にあがる前。細い路地をお父さんの後ろから歩いていた弓子さんは、お父さんに呼ばれて駆け出した拍子にきらきら星のついたキーホルダーを落とした。「落としたよ」と声をかけ彼女にキーホルダーを拾ってあげたのだった。お母さんにプラネタリウムで買ってもらったものだと言い、でもお母さん死んじゃったと言った。弓子ちゃんは三日月堂をやっている祖父母の家に預けられ、週末だけお父さんがやって来ていたのだった。

弓子は川越運送店のパート募集の張り紙を見て、働きたいとやってきた。面接をし、パートとして採用した。ハルさんは昔、高校を卒業したときに自分の名前の入った三日月堂のレターセットを両親からもらったことを話し、今年高校を卒業し、北海道の大学へ行く息子の卒業のお祝いに、やはり自分がもらったのと同じレターセットを息子に送りたいと思っていた。弓子さんは学生時代、祖父母の印刷所を手伝っていたので、印刷機の使い方も知っていたし、機械や活字もすべてそのまま残っているので、やってみましょうということになり、機械の掃除、点検を始め、レターセットを印刷した。

これをきっかけに、活版印刷三日月堂は再び動き出した。そして活版印刷三日月堂をめぐる物語が3つ書かれている。それぞれの物語が読者をぐいぐいと本の中へ引き込み、1日で読み終えてしまった。

「活版印刷三日月堂」 ほしおさなえ ポプラ文庫 2016年6月5日発行 680円
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by irkutsk | 2017-04-07 07:00 | | Comments(0)