「テレビじゃ言えない」を読みました(6月3日)
一部を抜粋すると次のようなことが面白く書かれている。
ニッポンは「一億総活躍社会」どころか「一億総自主規制社会」だ。国に「お前ら活躍しろよ」って言われて「ハイ、わかりました!頑張ります!」って納得しちゃうバカがどれだけいるんだろう。国が国民に「頑張れ」って強いるのは、よくよく考えりゃ「働いて税収増やせ」「社会保障に頼るな」って言われているのとほとんど同じだろ。オイラはそもそも、この頃のニッポンは「一億総自主規制社会」だと思ってる。最近は犯罪行為をやったわけでもないのにタレントがスキャンダルで叩かれて、世間から「一発退場」になってしまう。ベッキーも「超」がつく人気者だったのにテレビから一瞬にして姿を消してしまった。ショーンKもテンプル大学卒業、ハーバードでMBA取得といったプロフィールがほとんど嘘とバレて、出演番組をすべて失ってしまった。別に「ベッキーはタレントとして優秀だから、どんな批判があっても出演してもらいたい」とか「ショーンKはコメンテーターとして有能だから経歴が違おうが問題ない。大事なのはコメント能力だ」って続投させるテレビ局があったっていいと思うんだけどな。その方が仁義のある、誠実なテレビ局だって考えはないんだろうか。
見出しだけを並べてみても、彼の考えの一端がうかがえて面白い。
例えば『「ネットで調べれば何でもわかる」と考えるヤツは、「そこに書かれていないもっと深い世界」に思いが至らない』。そこには「スマホの通信料っているのは現代社会における「年貢」みたいなものじゃないか」とか、「どうも最近は『作られたブーム』に踊らされてるヤツが多い」(ハロウィンやポケモンGOやアニメの聖地巡礼などなど)。「どんなブームも『儲けたい大人』の意図が少なからずあるもんだけど、そこを気にしたり、反発する人間が少ない」、「18歳選挙権ってものも権力にとってものすごく利用しやすい好都合なものかもしれない。深く考えず、雰囲気だけでブームに踊らされるってのは、よくよく考えりゃ怖いってことに気がついたほういい」、「実際は知識がなくて浅はかだから、選挙権をやっておけばこっちの思うとおりに操れるぐらいに思われて、都合のいい票田とみなされたんだよ」
賞味期限についても、消費者のためにあるんじゃなくて、経済を回すためにあるんじゃないかと言っている。まだ食えるのに、賞味期限を過ぎると捨ててしまうという家庭も多いのではないか。また最近格安〇〇というのがよくあるが、安いのにはそれなりに理由がある。「安いものには気をつけろ」と彼は思っているという。
面白い本でした。この本に書かれていることがテレビで言えたら、日本人はもう少し賢くなったかもしれない。最近のテレビは自主規制と、ばかばかしいクイズ番組と、スポーツと、警察ドラマが幅を利かせ、まさに一億総白痴化のための手段と化している感が否めない。ネットとテレビを押さえておけば、国民を支配するのは容易いのかもしれない。
「テレビじゃ言えない」 ビートたけし著 小学館新書 2017年2月6日発行 740円+税