「三度目の殺人」を読みました(11月19日)
事件は被告人・三隅(58歳)が勤め先のヤマナカ食品の社長を殺害し、財布を奪い、遺体にガソリンをかけて焼いたという強盗殺人、死体遺棄という罪状だった。セッツは情状酌量を狙っているようだが、無理だと重盛は思った。
三隅は30年前に北海道で強盗殺人で2人を殺害し、その家ごと燃やしているのだ、強盗殺人に現住建造物放火で無期懲役。昨年、仮釈放になったばかりだ。この事件の裁判の裁判長を務めたのは重盛の父だった。
拘置所へ重盛の事務所の“ノキ弁”をやっている川島と摂津の3人で被告人に会いに行く。三隅は社長の殺人を認めており、「会社で金庫の金を盗んで解雇され、殺人の当日は酒を飲んでヤケになって、河川敷で後ろからスパナで殴って殺害し、勤めていた工場へ行ってガソリンを取ってきて遺体を焼いたという。
重盛は三隅に対して違和感を感じていた。どこか空疎なのだ。他人事のように、自分で犯した殺人事件のことを話している。
その後、調べていくうちに次々と様々な事実がわかってくる。三隅は本当に殺したのか?誰かの罪をかぶって身代わりになっているのではないか。
弁護士とは真実を明らかにするのか、被弁護人の利益のためには真実は必要ないのか。弁護士・重盛も事件の真相を突き止められなかったのか。
最後まで読んでも、だれが真犯人だったのかわからなかった。重盛自身の、三隅の、そして殺された山中食品の社長にかかわる父親と娘という関係を横糸に物語は展開していく。
映画は見逃したので、ぜひDVDを借りて見たいと思った。
「三度目の殺人」 是枝裕和、佐野晶著 宝島社文庫 2017年9月20日発行 650円+税