「日本人を直撃する大恐慌」を読みました(7月3日)
そして緊急経済対策として金融機関や会社の抱えていた不良債権を買ったり、落ち込んだ景気を刺激するために大量の資金供給を各国の中央銀行はやってきました。弱った心臓にカンフル剤を注射するように。ところが今度は財政の裏づけなしに大量のお金を供給してきたために各国政府の財政問題が大きくクローズアップされ、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどのユーロ圏の国々で超緊縮財政を取り始めました。先ごろ開かれたG20でもヨーロッパ諸国は財政健全化の目標を掲げました。一方アメリカはまだ景気回復が十分でないとして引き続き景気対策に取り組むことになりました。
ところが一番の問題なのは、震源地アメリカのドルの問題です。今まではドルが基軸通貨で世界中の貿易などの決済はすべてドルで行なわれていました。ところがだんだんとドル離れが進んできました。今でもアメリカはドルを使わないことを決めたイランを何とか口実をつけて攻めたいと思っています。イラク戦争もフセインが石油をドルではなくユーロで売ると決めたことが原因です。フセインを倒した後、イラクではまた貿易決済通貨はドルに戻されました。
企業会計で株や債券の時価会計を言い出して、世界中の国々に押し付け、経営が危なくなった会社をはげたかのように買い叩いていたアメリカが、今では時価会計凍結を言い出し、自分たちの会社は時価会計ではなく会社が決められるようにして、今回の危機を乗り切ろうとしています。
またアメリカ政府はドル紙幣を刷りまくり、国債を売りまくって借金を重ねていますが、こんなことはいずれ破綻を迎えます。この本の著者は、オバマ大統領はデフォルトを宣言するか、通貨の大幅切り下げを行い膨大な借金をチャラにする以外に打つ手はないと言っています。また戦争の危険性も指摘しています。これまでも戦争は格好の景気対策として利用されてきました。イラン戦争が起こる危険性も指摘しています。戦争になれば資源は上昇し、食料自給率、エネルギー自給率が低い日本は大きな打撃を受けることになります。
朝倉慶 著 飛鳥新書 「日本人を直撃する大恐慌」 714円+税