「佐賀のがばいばあちゃん」を読みました。(8月18日)
島田洋七が広島で母と兄と3人で暮らしていたが、大変なので佐賀のばあちゃんのところに預けられるところから話は始まる。
プロローグで彼はこんなことを書いている。「『今、世の中はひどい不景気だ』とみんなは言うけれど、何のことはない。昔に戻っただけだと、俺は思う。変わってしまったのは、人間の方だ。お金がないから。ホテルで食事ができないから。海外旅行にいけないから。ブランド物が買えないから。‥‥そんなことで不幸だと思ってしまうなんて、どうかしている。リストラされた人には気の毒だと思うけれど、それだってものは考えよう。朝八時に起きて満員電車に揺られて会社に行って、働いて、残業して、飲みたくもない酒の席に付き合って、終電車に乗って帰ってくる‥‥そんな人生から解放される新たなチャンスだと思うことだってできるはずだ。」
「本当はお金なんかなくても、気持ち次第で明るく生きられる。なぜ断言できるかというと、俺のばあちゃんがそういう人だったからだ。」
子供向けの<愛蔵版>には、ばあちゃんのところにアラタというばあちゃんの末息子が出てきます。彼は3歳のときの事故が原因で脳の発達が止まってしまい、近所の子どもたちから「バカ」と言われてからかわれています。ばあちゃんは昭弘に仕返しをしてはいかんときつく言ってありました。昭弘が仕返しをして、相手の子どもにけがをさせたりすると、ばあちゃんが働いている学校の掃除の仕事を辞めさせられるかもしれないと思ってのことでした。<愛蔵版>には飼っていた犬のコロも出てくるのですが、図書館の本には出てきませんでした。島田洋七がどうしてアラタとコロを2001年に最初に出した本の中からカットしていたのか、ちょっと残念でした。
本の最後にばあちゃんの語録が載っていますが、これも楽しいものでした。
少し紹介すると、「『暑い』『寒い』と、うるさく言うな。夏は冬に感謝し、冬は夏に感謝しんしゃい。」「人に気づかれないのが本当の優しさ、本当の親切」「ケチは最低!節約は天才!」「生きていることが面白い。なりふりかまうより、工夫してみろ。」
「佐賀のがばいばあちゃん」 島田洋七 2001年7月3日発行
発売 ムーンライトファクトリー 1100円+税
愛蔵版「佐賀のがばいばあちゃん」 島田洋七 2005年7月31日発行
徳間書店 952円+税