「日本人でも知らない? 外国人の大疑問」を読みました(9月8日)
第1章の「この日本語が言いたかったんです」では「おじゃまします」、「よろしくお願いします」、「しつれいします」だったと言う。「おじゃまします」は誰か日本人の友達の家に呼ばれないと使えない言葉だし、「よろしくおねがいします」はこれを一つの単語として覚えた留学生は、こんな長い単語をうまく言えたらと思っていたそうです。「しつれいします」は、電話の最後に言うこの言葉を使いたくて、「もし、もし」と電話をかけたときからずーっとどきどきして「しつれいします」を言う時を待っていたということでした。
第2章では「コンビニに行こうっと」の最後の「と」は何ですかという疑問。これは「コンビニに行こうと思う」の「思う」が省略されている形だそうだ。
第3章「漢字」では案内の「案」の漢字を覚えるときに、木の上で女の人が「あっちよ」と言って案内してくれるとイメージして覚えたという体験が紹介されていました。他にも面白い漢字の覚え方が日本語学校の教科書に載っているそうです。
第6章「ニッポンの大疑問」では「どうして居酒屋ではお通しが出てくるのですか」、「日本人はどうしてお花見で大騒ぎするんですか」、「電車で本を読むときどうしてみんなカバーをしているのですか」、「日本人は友達に会うときどうして2,3週間も前から約束するのですか」、「いつから日本にウォッシュレットがあったんですか」、「いつからタクシーのドアは自動で開くようになったんですか」など外国人がどんなことを疑問に思っているのかを知ることができます。もちろん本の中に答えが書いてあります。
日本語の文法のことも書かれています。外国人にとって「んです」は意外と難しい。例えば「旅行へ行ったんですか」は「旅行へ行きましたか」と同じ意味だが、後の言い方は固い感じがしますね。前の言い方のほうが自然です。
「んです」は疑問詞と相性が抜群で
「いつ、行ったんですか」、
「なぜ、行かないんですか」、
「誰と会ったんですか」、
「何を食べたんですか」のように使います。
また疑問詞が付かなくても、理由の説明にも使えます。
「どうしたんですか、そんなに濡れて」
「急に雨が降ってきたんです」
そして動詞の「て形」(日本人にはあまりなじみのない言葉ですが、「読んで」「聞いて」「買って」などの形の動詞のことです)が重要だと書いてあります。それはお願いの表現(「教えてください」「貸してください」)や連続する動作を表す(「うちに帰って、晩ごはんを食べました」、「手紙を書いて、ポストに入れました」)、動作が進行形であることを表す(「今、ごはんを食べていますから、ちょっと待ってください」、「山田さんは今、電話をかけています」)など日常よく使う表現に用いられているからです。
日本語教師にとってはとても面白く読めましたが、そうじゃなくても十分楽しめる内容です。
「日本人でも知らない? 外国人の大疑問」 高橋陽子著
協力 インターカルト日本語学校 発行 株式会社アルク
2010年8月31日発行 952円+税