「あなたは常識に洗脳されている」を読みました(10月21日)
例えば少子化の問題です。少子化は問題で、子どもを増やすための方策を取らなければならないと言われて、国民もそうだなと思わされている。しかし彼は次のように言っています。「人口は少ないほうがいいに決まっています。地球上には、現在68億人が住んでいます。そのため、自然が破壊されるような環境問題、食料が足りないという問題、石油が足りないというエネルギー問題など、大きな問題が起こっているのです。」
少子化が問題だと言っている人たちはGDP(国内総生産)が減る、年金を支える人が減るという二つの理由を挙げています。しかし、GDPは中国の例を見ればわかるように人口が多ければGDPは大きくなるのです。国単位でなく地球単位で見れば少子化は問題でも何でもありません。年金の問題は集めたお金の運用の仕方に失敗したという財政問題であって、人口問題ではないはずだと言っています。
またわたしたちを洗脳するものとして、親や学校の教育、テレビ、新聞などのメディアがその最たるものだと指摘しています。「テレビを見ているときあなたは思考していますか?」「なぜ、どうしてと疑問をもって、テレビを見ていますか?」と問いかけています。テレビを見ているとき思考がゼロになってしまっているのです。思考がゼロになると「入ってくる情報に対して、疑った思考ができないので、すべての情報が正しいと勘違いしてしまいます。」
「「常識」という名の洗脳が恐ろしいのは、わたしたちの脳の仕組みに原因があります。人間の脳にはスコトーマ(盲点)があります。世の中すべてのことを見ているのではなく、自分にとって重要度の高いものしか目に見えないようにできているのです。」
そしてこのスコトーマの原理は常識についても言え、あなたが常識だと思っているものしか目に入ってこないように、脳はできているのです。だから少子化が問題だということも疑ってみることもできないのです。」
ではどうすれば常識を疑う脳を鍛えることができるのか。「常に「なぜ?」「どうして?」という視点で、世の中を見ることです。」と言っています。
この本の中でたくさんの常識だと思われていることについて、一つずつわかりやすく解説してくれています。その内容は「携帯電話は素晴らしい→誰も言わない携帯電話の影響」「学校教育は子どものために必要だ→学校教育は奴隷を作るシステムだ」「新聞やテレビジャーナリズムは大切だ→独自のスクープをとれないメディアはいらない」「環境問題は二酸化炭素の増加だ→本当に深刻な問題は、酸素不足」「紫外線による命の危険性はない→紫外線で地球上の生物が滅びる」「運動は健康にいい→運動すると、寿命が短くなり、飢餓人口も増える」「有機野菜は体にいい→勇気野菜の「危険」を知る」「日本はデフレが問題だ→国民はデフレになるほうが嬉しい」「日本は独立国である→国際法上、日本は独立国ではない」です。
同意できない点もいくつかありますが、なかなかユニークな視点で世の中の出来事をとらえ、従順に従う羊の群れに「それでいいのか」と問いかける本です。
「あなたは常識に洗脳されている」 苫米地英人(とまべちひでと)著
大和書房発行 2010年9月5日発行 1300円+税