「私でもこんなに間違える中国成長株選び」を読みました(10月28日)
このコラムは株のことだけではなく日本の政治や経済の話もあり、とても興味深く読んでいます。今回の本では戦後日本の経済が僅か30年で世界に注目される経済大国になったのは日本人のチームワークのよさが大きくものを言っているし、先頭を走っていたお役人さんたちの頭の良さと生真面目さによるものだと邱永漢さんは言っています。そしてそのお役人が次のステップで議員の大半を占領しても不思議ではない。しかしそれが世襲制に変わったところから、日本の足踏みと後ずさりが始まったと言って、世襲政治家を批判しています。
また日本はアメリカとの関係を新しく調整する時期になっている。今までアジアに位置していたのに「アジアの蚊帳の外」にいた日本だが、うっかりすると追い抜かれるだけでなく、仲間はずれにされる心配も出てきたと述べています。ヨーロッパはユーロ圏という別天地を築く方向に動いており、中国は日本を追い越して一大消費国にのし上がろうとしている。そうなるとニューヨーク市場の影響を一番受けるのは日本だけで、アメリカと命運をともにすることになる。そしてアメリカに無理難題を持ち込まれるのは日本だけになると指摘しています。
アメリカが人民元の切り上げを中国に要求していますが、その態度は日本にさまざまな要求を突きつけてくるのとは全く違いますね。中国は「手持ちのドルを売るぞ」と反論できるからでしょう。同じくらい米国債を保有している日本がアメリカの言いなりになっている姿は国民として情けないですね。
そして80歳を過ぎても元気な邱永漢さんですが、「年を取ると、未来に背を向けて後ずさりしながら過去を語る人が多くなります。いつも未来がどうなるかに興味を持っているので若い人たちに囲まれて生活しています。」とのこと。過去を語るのではなく、未来への興味を失わないようにしたいものです。
「私でもこんなに間違える中国成長株選び」 邱永漢著 グラフ社発行
2010年10月5日 1300円+税