「命のバカ力」を読みました(1月17日)
人間の遺伝情報のうち使われているのは僅かに3%。残りの97%は眠っている。そして人間のたんぱく質を作っている遺伝子の数は32,000個。そしてこれらの遺伝子が実に巧みな調和の下で働いている。Aが動き出すと、Bはそれを知って手を休める、Cは作業のピッチを早める等々。
遺伝子にはON、OFFのスイッチがあり、ある種の刺激や環境によってスイッチが入ったり、切れたりする。そしてこのスイッチは気持ちの持ち方、心の状態でも入ったり切れたりするという。97%の眠っていた遺伝子が目覚める大きなきっかけになるのは、思い切って環境を変えたとき。新しいものに触れることは遺伝子を目覚めさせる絶好の機会だそうです。でも人は本能的に安定や安全を求めますから、急に環境を変えることは勇気のいることかもしれません。
先のことを考えるとき人はなぜか物事を悪いほうに悪い方にと考えがちです。これは人間が基本的に保守的な動物だからだと思われます。生きて行くうえではその方が安全だからです。遺伝子の初期設定の基本は身の安全の確保です。
この本の中でアメリカの心理学者アブラハム・マスローが人間の可能性を阻害する要因として次の6つをあげていることが紹介されていました。
1、いたずらに安定を求める気持ち
2、辛いことを避けようとする態度
3、現状維持の気持ち
4、勇気の欠如
5、本能的欲求の抑制
6、成長への意欲の欠如
プラス思考が遺伝子にも影響し、心身の健康を保てるし、笑いが病気の最良の薬であるとも言っています。そしてノーマン・カズンズの「笑いと治癒力」という本を紹介していました。笑いと感動が眠っているいい遺伝子を目覚めさせ、悪い遺伝子をOFFにするということも書かれていました。
遺伝子は遺伝に関わっているだけかと思っていたら、毎日の私たちの体の健康をもつかさどっている大事なものだということがよくわかる本でした。
「命のバカ力」 村上和雄著 講談社α新書 2003年7月20日発行 880円+税