「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」を読みました(3月2日)
韓国では2006年8月にパチンコが禁止されました。禁止になる前は15,000店ものパチンコ屋があり、その数はコンビニの数よりも多かったのです。韓国のパチンコは玉を弾く日本のパチンコと違ってどちらかと言うとスロットマシンに近いといったほうがいいかもしれません。1万ウォン(約800円)を入れるとメダル100枚が出てきて、それを台の中央部に設けられた皿に流し込んでスタートボタンを押し、大当たりになれば玉の代わりに商品券が出るという仕組みになっている。そして日本同様、その商品券を現金に換えてくれる商品交換所がパチンコ店の近くにある。
パチンコは依存症に陥りやすく、また一回に使う金額も昔と比べて大きくなっている。そのために家庭崩壊や強盗、殺人事件まで惹き起こしている。このようなパチンコを原因とする社会問題に対して、韓国ではパチンコの禁止という措置をとり、公式には全廃させることできた。
ところが日本では、同様の問題が起こっているにもかかわらず、国はなんら有効な対策を講じず、かえってギャンブルを助長するような公営カジノの開設などを検討している。
パチンコ依存症になって苦しんでいる人達は年金生活者や主婦など経済弱者である。昨今のように景気が悪くなると一攫千金を夢見て、庶民はささやかなギャンブルに手を染める。ところが人によってはいわゆるハマってしまい、毎日通うようになる。毎日通って金儲けができるはずがなく、どんどんお金を吸い取られて行く。そしてやがて切羽詰って犯罪に手を染めることになっていく。
ではどうして日本ではパチンコが禁止できないか。庶民が反対しているわけではなく、パチンコ産業と警察が一体となっているところに大きな問題がある。パチンコ関係の業界団体がいくつかあるがそのほとんどは警察官の天下り先となっている。パチンコ全廃なんてことをやれば天下り先がなくなるので警察が反対するのは当然である。財団法人保安電子通信技術協会というパチンコ、パチスロの型式試験・検査を行なう団体の会長に元警視総監が納まっているのである。
さらに、パチンコ業者数十社からなる「パチンコチェーンストア協会」のアドバイザーに民主党、自民党、公明党の国会議員が名を連ねている。
マスコミも韓国でパチンコが禁止され、全廃されたことを一切報じていない。またパチンコがらみの犯罪が多発しているにもかかわらずこの問題を正面から取り上げようとしない。なぜならパチンコのCMによって業界・業者からお金をもらっているのですから。
私もかつてはパチンコをやっていましたが、大負けした時のあの惨めな気持ちを味わわなくなっただけでも精神的にはいいです。
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