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「戦火のナージャ」を見に行きました(5月16日)

「戦火のナージャ」を見に行きました(5月16日)_d0021786_15372333.jpg名演小劇場へ「戦火のナージャ」を見に行きました。
17年前に作られたロシア映画「灼かれた太陽」の続編ともいうべき本作品は、登場人物も監督自ら演じるコトフ大佐と成長した娘のナージャの物語です。17年前、その愛くるしさで多くの人々を惹きつけた監督ニキータ・ミハルコフの娘ナージャはすっかり大人になっていました。

前作「灼かれた太陽」では1930年代のスターリンによる粛清が描かれていましたが、今回の「戦火のナージャ」では1941年ドイツが宣戦布告もなしに、ソ連へ侵攻してくるところから始まります。

スターリンの粛清の犠牲となり収容所送りとなったコトフ大佐は、政治犯ではなく刑事犯として収容所で作業をさせられていました。そしてドイツ軍が侵攻してきたので囚人を別の場所へ移そうとしていた時、ドイツ空軍の攻撃を受けます。そして彼はこの機会に脱走しますが、一兵卒として最前線に送られます。

一方、コトフ大佐を逮捕したKGBの幹部ドミートリーはスターリンに呼ばれ、コトフ大佐が生きているという情報があるので調べるようにという命令を受けます。

ナージャはコムソモールに入って、小さな子どもたちの面倒を見ていました。しかし、ドイツ軍が侵攻してくるというので船で避難することになります。負傷兵を乗せた赤十字の船に乗って避難している途中、ドイツ軍の飛行機が攻撃はしないものの、演習と称して、船の上に急降下してきます。それに業を煮やした負傷兵の一人がピストルで飛行機から身を乗り出してくそをしようとしていたドイツ兵を撃って、殺してしまいます。当然、船はドイツ空軍機の総攻撃を受け、沈没させられてしまいます。ナージャは海に飛び込み、神父と二人、機雷に捕まって助かります。そこで下半身を負傷している神父はナージャに洗礼を授けます。

そして彼女は機雷に捕まってようやく岸が見えるところまで来ます。そして村の方へ行き、ドイツ軍がやってきたので、リンゴ畑に隠れていました。ところが偶然リンゴをとりに来たドイツに見つかり、近くの家の扉を叩いて助けてくれるように頼むのですが、どこのうちも扉を開けてくれません。そして彼女は牛小屋に逃げ込みます。そこでドイツ兵3人に路上でレイプされたという女性に助けられます。彼女がやってきたドイツ兵を殺したのです。

いなくなったドイツ兵を探しに仲間がやって来て、彼の死体を発見し、仲間を呼びに戻ります。ナージャと彼女は丘の上へ走って逃げます。しばらくするとドイツ兵たちが戻ってきて、村人を家から出し、誰が殺したのだと犯人探しを始めます。そして最後は彼らを大きな小屋へ入れ、カギを掛け、ガソリンをかけて火をつけ、村人全員を焼き殺したのでした。

コトフ大佐は1941年10月、懲罰部隊の一兵卒として前線で塹壕を掘っていました。そこに若い士官候補生たちの一隊が合流します。そしてしばらくすると後ろの方から地鳴りが聞こえてきます。てっきり味方の戦車部隊だと思って士官候補生の一人が飛び出すが、それはドイツ軍の戦車で、彼らの部隊はほぼ全滅させられました。

ナージャはその後従軍看護婦になり、前線で負傷兵の手当てをしていました。戦闘が終わったところへ、助けを呼ぶ声がし、その声の主のところへ行くと、重症でとても助からない状態の兵士がいました。彼女は手当てをし、モルヒネを注射してやります。そして彼の死に際の願い「彼女に胸を見せてほしい」という聞き入れ、見せてやるのでした。

映画はこのシーンで終わり、ナージャは父のコトフ大佐と会えるのかわからない。第三作が近いうちに作られるのではないかと思わせるような終わり方でした。

2時間半もの長い作品でしたが、全く時間の長さを感じさせない映画でした。ドイツ軍が侵攻してくるので非難している住民がまだ橋を渡っているのに、橋を爆破してしまうソ連兵や娘がドイツ軍に路上でレイプされても誰も助けようとしない村人、そして戦争の重苦しい場面の中にもユーモアを忘れない懲罰部隊の兵士たち、KGBの幹部が尋ねてくるとぴりぴりする人たち。一人ひとりの人間が非常に生き生きと描かれている映画でした。やたら戦闘シーンばかりを強調するような戦争映画とは違って戦争の時代にも生きているのは喜怒哀楽をもった一人ひとりのや人間だということを非常にうまく描き出していました。

「戦火のナージャ」 2010年ロシア 150分 監督:ニキータ・ミハルコフ
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by irkutsk | 2011-05-16 15:37 | 映画 | Comments(0)