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「利他のすすめ」を読みました。(7月2日)

「利他のすすめ」を読みました。(7月2日)_d0021786_10264057.jpgこの本は日本理化学工業株式会社会長の大山泰弘さんが書かれた本です。
日本理化学工業はチョークを作っている会社です。大山さんは大学を卒業後、教師になりたいと思っていたそうですが、会社の創業者であるお父さんが体調を崩され、お父さんを助けるために日本理化学へ入社しました。

そして彼の人生を変える出会いがありました。1959年養護学校の先生が訪れて、「生徒を就職させていただけませんか」と頭を下げられました。断わりましたが、三度も先生はやってきました。そして先生は「もう、就職をとは申しません。でも、せめて働く体験だけでもさせていただけませんか。あの子たちはこの先、親元を離れて地方の施設に入ることになります。そうなれば一生、働くということを知らずに、この世を終わってしまう人になるのです。一度だけでも、働くと言うことを経験させてやりたいんです」と言いました。

2週間程度ならと二人の生徒を受け入れることにしました。二人は一言も口を利かず、無心でシールを貼り続けていました。ちょっとした失敗でも、居場所のないように身を縮ませるので、「そんなに気にすることじゃないよ」と言うと、心底ホッとした表情を見せます。そして、仕事が終わって「ありがとう、助かったよ」と声をかければ、心から嬉しそうな笑顔で応えてくれました。

ところが、最終日の終業後、二人を世話していたひとりの社員が大山さんのところにやって来て、こう言いました。「こんなに一生懸命やってくれるんだから、一人か二人だったらいいんじゃないですか。私たちがめんどうみますから、あの子たちを雇ってあげてください」「これは社員の総意です」

こうして大山さんは二人の少女を正式に採用することに決めました。

その後も障害者の雇用をすすめ、現在では社員の70%が障害者です。この大山さんが障害者雇用を通じて理解した「生きる」とは何なのかということが、この本には書かれています。

大山さんがあるとき、とある方の法要のために禅寺を訪れ、法要後の食事の席で隣に座られたご住職にこう質問しました。「うちの工場には知的障害をもつ二人の少女が働いています。施設にいれば楽ができるのに、なぜ工場で働こうとするのでしょうか?」
一瞬、間がありました。
そしてご住職は大山さんの目をまっすぐに見つめながら、こうおっしゃったのです。

「人間の幸せは、ものやお金ではありません。
 人間の究極の幸せは次の四つです。
 人に愛されること、
 人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること、
愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
障害をもつ人たちが働こうとするのは、
本当の幸せを求める人間の証なのです」

「利他のすすめ」 チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵
大山泰弘著 WAVE出版 2011年4月29日発行  1400円+税
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by irkutsk | 2011-07-02 10:26 | | Comments(0)