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「水の柩」を読みました(11月10)

「水の柩」を読みました(11月10)_d0021786_91477.jpg旅館の長男である中学2年の逸夫は毎日が普通であることが耐えられない。同級生の女の子敦子は普通であることに憧れる。

小学校6年生の時に逸夫の住む町に引っ越してきた敦子は、この町へ来た時母親とまだ赤ん坊だった妹と3人で逸夫の旅館に泊まったのだった。敦子に父親はおらず、母親が夜の仕事に出かけて子どもたち二人を育てていた。

そして敦子は転校した小学校でいじめを受けていた。この小学校では卒業の年に、20年後の自分へという手紙を書いてタイムカプセルに入れることになっていた。敦子は自分をいじめたのが誰で、どんないじめを受け、そのときの自分の気持がどうだったのかを手紙に書いてタイムカプセルに入れた。

逸夫の家族は両親と祖母のとき、年の離れた1歳にもならない弟多々朗の5人だった。旅館には板場、板場見習い、仲居、運転手が働いていた。

祖母のときは少し先にあるダムの底に沈んだ村の地主の娘だったということだった。だが祖母のときには誰にも言えない過去があった。

中学に入ってしばらく敦子へのいじめは止んでいたが、またいじめが始まっていた。敦子はそのいじめに耐えていたが‥‥。そして逸夫にタイムカプセルに入れた手紙を取り替えたいので手伝って欲しいと頼む。夜、二人は小学校に埋めたタイムカプセルを掘り出し、中の手紙を取り替える。どうして敦子はいじめを告発した手紙を取り戻し、そんなことを全然書いていない普通の手紙と取り替えたのか。

そして手紙を取り替えた後に何が起こるのか。

前半、時間の前後関係が良くわからなかったが、読み進めていくうちにだんだんとはっきりしてきた。いじめにあっていた敦子、誰にも言えない過去を持っていた祖母のとき、毎日が平凡で普通の生活に耐えられなくなっていた逸夫。三人三様の重りを心の中に抱えていた。果たして三人はそれをうまく始末できるのか?

「水の柩」 道尾秀介著 講談社 2011年10月26日発行 1500円+税
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by irkutsk | 2011-11-10 09:01 | | Comments(0)