「遠いと思うなアジアの時代」を読みました(11月22日)
第1章では「自分にプラスになるように時間を使おう」というテーマで、次のように言っています。「使っても使わなくても時間は消えてなくなってしまいます。またふんだんに時間をもてあましている人ほど、時間を無駄にしてしまいます。そういう人の時間はお金にならない時間だし、自分を磨く役に立たない時間だからです。そういう人に時間の上手な使い方を口説いても何の役にも立ちません。そもそも持っている時間が役に立たない時間だからです」。また、時間に遅れる人は時間の無駄遣いと題して、「そんなに小さなことでも、人に約束したことは絶対に守ることです。時間をきちんと守る人は、他の約束も大抵は守れます」と言っています。
アメリカ産業界は物づくりによって付加価値を生み出すことから、お金でお金を生む方向へ進んでおり、簡単には物づくりによって付加価値を生み出す方向へは戻れないので、アメリカの景気回復は遅いと言っています。
中国でこれから不足するものとして、金属では銅、私たちの日常生活では水だと言っています。農業でも工業でも都市生活でもそれぞれ水の奪い合いになるし、水の有効利用から汚水の処理、さては海水の淡水化まで恐らく水資源の活用が国をあげての緊急課題になることは避けられないと言っています。
日本は成熟社会で、住居を始めとして家の中は家具から電気製品までひととおり揃っています。景気がよければ、欲しいものはよけいなものでも買います。しかし収入が減り、倹約ムードの中では人々は物を買わなくなります。食べ物以外はほとんど買わなくても何の不自由も感じません。不況が長期化してもそれに耐えられる社会環境になっています。
株については次のように言っています。「株に関する関心は人間の持つ関心の中のほんの一部にすぎません。それでも関心を持ち研究心を働かすようになったら、わずかなお金から出発した人でもお金の増え方が違ってきます。頭は働かすといくらでも働いてくれますが、働かなくなると急速に衰えます。ですから老化を防ぐには、株式投資は老化社会のワクチンの働きをやってくれるのです。株は売らずに一生持ち続けるよりは、やっぱり儲かったら適当なところで儲けを実現して考えたこともないようなぜいたくをしてみることにこしたことはありません。株を買うなら成長株に限る。ではどんな株が成長株かというと供給が長期にわたって需要に追いつかない企業のことです。」
最後に「紙幣が発明された以上、デフレの向こうには必ずインフレがあると考えるべきです」とこれからの日本を予測するようなことをいっています。
アメリカが世界経済を牽引する力を失い、経済の中心がアジアに移りつつある。そしてそういう状況の中で日本はどうするのか、日本に住む私たちはどうしたらいいのかについていくつかの提言がなされているいい本でした。
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「遠いと思うなアジアの時代」 邱永漢著 グラフ社 2011年5月5日発行 1300円+税