「内部被曝の真実」を読みました(11月30日)

d0021786_17115412.jpg東京大学先端科学研究センター教授であり、アイソトープ総合センター長の児玉龍彦さんが国会で「国に満身の怒りを表明します」と声を震わせて抗議したのをテレビやYoutubeで見られた方も多いと思いますが、この本はその国会の衆議院個性労働委員会での児玉さんの発言を始め内部被曝の危険について書かれています。

第1部は衆議院個性労働委員会の発言、質疑応答が書かれています。内部被曝のメカニズムについてもわかりやすく話されていました。「内部被曝がどのように起こるか。内部被曝の一番大きな問題はがんです。ガンがなぜ起きるかというと、放射線がDNAの切断を行なうからです。ただしご存知のように、DNAというのは2本の鎖から成る二重らせんですから、二重のときは非常に安定的で切れにくい。しかし、細胞分裂するときは、二重らせんはほどけて1本ずつになって、それぞれが2倍に増えて、鎖が4本になります。この鎖が1本になる過程のところが、切れやすく、ものすごく危険です。そのために妊婦の胎児、それから幼い子どもなど、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険を持ちます。」と述べています。

専門のトロトラスト(レントゲン検査に用いられるアルファ線を出す造影剤の一種)による肝障害を例にとって説明しています。α線は飛ぶ距離が短いため近隣の細胞を壊し、そのときに一番やられるのは、p53という遺伝子(がんの発生を抑制する遺伝子)だということです。それに続く第二、第三の変異が起こるまでに20年から30年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくることが証明されています。

チェルノブイリでヨウ素131が甲状腺がんを多発させましたが、当初日本やアメリカの研究者は原発事故との因果関係はわからないと言っていました。統計学的に有意だということがわかったのは20年後です。このように疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の症例が終わるまで、だいたい証明できません。しかし、それを待っていたら遅すぎるのです。

第2部の「疑問と批判に答える」では、セシウムによる長期障害はヨウ素以上に複雑で難しい問題と言っています。チェルノブイリで起こっている前がん状態のチェルノブイリ膀胱炎のことからすると、福島のセシウムのレベルからは「ただちに健康に危険はない」というレベルではなく、すでに膀胱がんなどのリスクが増加する可能性のある段階になっていると言います。

今まさに、食品からの内部被曝が現実の問題となっている中で、そのメカニズムを科学的に、かつわかりやすく説明してくれています。おすすめの一冊です。

「内部被曝の真実」 児玉龍彦著 幻冬舎新書 2011年9月10日発行 720円+税
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by irkutsk | 2011-11-30 17:11 | | Comments(0)