「神様2011」を読みました(1月24日)
みっつ隣の305号室に越してきたくまに誘われて、わたしとくまが川原へハイキングに行くという話です。「神様」では川原ではたくさんの人たちが泳いだり釣りをしていました。ところが「神様2011」では川原にいたのは防護服を着た二人の男の人だけでした。川でくまが魚をとって、その場で開いて塩を振り、干物にして持って帰ってその夜、食べるというストーリーも、食べずに靴入れの上に飾るというように変わっていました。「あのこと」以来、世界が変わってしまった。でも私たちは「変わってしまった世界でしかこれからも生きていけない」というメッセージが感じられる一冊でした。あとがきで川上弘美さんはこう書いていました。「それでもわたしたちはそれぞれの日常を、たんたんと生きてゆくし、意地でも「もうやになった」と、この生を放りだすことをしたくないのです。だって、生きることは、それ自体が、大いなるよろこびであるはずなのですから」。
「神様2011」 川上弘美著 講談社 2011年9月20日発行 800円+税