「死体入門」を読みました(3月28日)
人が死んだ後、魂の分だけ軽くなる。どのくらい軽くなるのかは個人差があるが、平均して20gだという。
また死の瞬間をいつと捉えるのか。日本の場合「呼吸停止」、「心拍停止」「瞳孔拡大」と言う3つの基準が用いられているそうだ。
さらに死体が時間の経過と共にどのように変化していくかについて鎌倉時代の「九相詩絵巻」に基づいて詳しく解説されている。死ぬと血液の流れが止まり、血液は死体の低いところに集まる。これが痣のような褐色に見える「死斑」である。
死後3時間ほどで頭から足先にかけて順に硬くなっていく。これが「死後硬直」である。20時間もすると全身が固くなり、死体を立てかけておくこともできるほどだという。
そして色の変化が「腐敗」と「自己融解」によってもたらされる。
次に「膨脹相」と呼ばれる「全身が膨張する」状態になる。腐敗や自己融解で発生したアンモニア水素や炭酸ガスがが体内に充満し全身が2~3倍に膨れ上がる。
「膨脹相」の次は「血塗相」。皮膚が伸びきって表面に気泡ができる。この気泡が破裂し、表皮が剥離すると中からガスと腐敗した体液があふれ出てくる。
そして次が「膨乱相」。蛆虫が群がる状態である。ハエが死体を嗅ぎつける能力は非常に高く、死後10分程度から集まり始める。ハエが死体に産みつけた卵は12~18時間で孵化し、蛆虫になる。蛆虫は1週間程度でさなぎとなる。その後4~5日で成虫になって飛び立つ。
さらに「青瘀相」「噉食相」「骨連相」「骨散相」「古墳相」へと進んでいき最後は土に還る。
死体が変化しない「永久死体」には「ミイラ」「屍蝋」「第三永久死体」の3種類がある。「ミイラ」とは基本的には魚の干物と同じである。そして人工ミイラはもともと環太平洋地域に住む人々の文化だったのではないかという仮説もある。
死体に関するさまざまなことを法医学者の立場から素人にもわかりやすく説明してくれた本である。
「死体入門」 藤井司著 株式会社メディアファクトリー 2008年3月31日発行 900円+税