「人生教習所」を読みました(6月7日)
平成19年4月1日付の「人間再生セミナー「第三回小笠原塾開講」」という毎朝新聞の全面広告を見て、それに応募した4人、東大生で現在休学中の浅川太郎(19歳)、背中に刺青のある元やくざの柏木真一(38歳)、人との関係がうまく作れないフリーライター森川由香(29歳)、30年以上バイクメーカーに勤めて今は定年退職者の竹崎がこのセミナーにどうして参加したのか、そしてこのセミナーの中で何を考え、どう変わって言ったのかが、小笠原の自然とそこに住む人たち、特に戦前、戦後のアメリカ統治時代、日本返還後の時代を生きてきた島民たちの体験談を横糸に描かれている。それぞれに問題を抱える4人が、入塾4日目に行なわれる中間試験に合格し、二次セミナーに進み、同じグループになる。そしてセミナーでの体験を通じ、新しい自分の生き方を発見し、社会へと復帰していくという話です。
今まで小笠原の歴史についてほとんど知らなかったけれど、この本のおかげで米軍占領下の小笠原がどうだったのか、島民たちはアメリカの統治をどう受け入れていたのか、日本返還後の小笠原はどう変わったのかなどがよくわかりました。
「人生教習所」 垣根涼介著 中央公論新社 2011年9月30日発行 1700円+税