「私の『戦争論』」を読みました(8月21日)
吉本はこの本の中で「他国の領土内で行なう戦闘行為は「侵略」である」と言っています。また戦争とは「国家の武装集団-それは、国家の首脳が兵隊を募集して、民衆の意志とは別個に編成し、そして民衆の意志にかかわりなく、国家の首脳の意志だけで動かせる武装集団ですが、その武装集団が相手国の同じような武装集団と戦うとき、それを戦争というんです」と言っています。
そして「日本国憲法第九条の「戦わない」という理念が憲法に盛り込まれている。それは理念としては、現在、人類が持ちうる最高の理念です。戦争というものは勝っても負けても民衆にとっては得なことは何もない、何もあとに残らないよというのが僕の実感なんです。「戦争自体がダメなんだ」ということ―憲法第九条は、その理想に近づきうる憲法だということです」と言っています。
また「公」と「個人」との関係について次のように言っています。
「「公」とは「私を開くことだ」といえば、何となくもっともらしく聞こえますが、個人+個人+個人+‥‥といった個人の総和が「公」ということであって、個人を超えて「公」が存在しているわけじゃない。「公のためには個人は犠牲になってもいい」という考え方は間違いです。」
「私の『戦争論』」 吉本隆明著 ぶんか社 1999年9月30日発行 1,600円