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「1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる」を読みました(9月6日)

「1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる」を読みました(9月6日)_d0021786_219639.jpg山田昭男さんが自ら創業した未来工業の仕事のやり方を本にしたものです。年間休暇140日、有給休暇40日で残業禁止、定年70歳、育児休業3年、社員800人全員が正社員。それで会社は一度も赤字を出したことがなく成長を続けている。どうしてこんなことができるのか?その真髄を自ら明らかにして、他の会社でもやろうと思えばできることなんだと言っています。「ミライズム」を普及し多くの働く人が楽しく働けるようにという一冊です。

未来工業では会社内のあちこちに「常に考える」と書かれている。経営者や上司が命令しているうちは自分の頭で考え行動する社員は育たないという。

1日7時間15分の勤務時間というのは、いいことばかりではない。社員たちは1日7時間15分しかないのだから毎日かなり効率的に働かなければならない。また、時間があると人は余分な仕事までしてしまうが、限られた時間の中では必要な仕事の取捨選択を行なう。

未来工業では「ホウレンソウ」禁止である。社員一人ひとりが常に考え、自分の責任と権限で行動し、それが間違っていれば改めることでしか当事者意識は育たないという。

日本人には「アメとムチ」ではなく「アメ、アメ、アメ」作戦こそ最大の労務管理だという。未来工業にはタイムレコーダがない。ズル休みをしようと思えばできるが、かえって信頼されていると思うとそんなことをする人間はいない。特に生真面目な日本人はそういう傾向が強い。

成果主義は職場に必ずマイナスな感情を生み出し、そのマイナス効果の代償は数値化できないが高くつくにちがいない。上司の仕事は部下の不満をできるだけ消すことであり、部下を管理したがる人間ほど、自分のことが管理できないという。

最近の不況下で企業における管理強化は強まり、社員に犠牲を強いる会社がよく見られるが、企業活動は何のためにやっているのかを今一度考えて見る契機になりました。人を疑ってかかり、管理を強化するよりも、信頼されていると思える環境を作るほうが社員は気持ちよく働けるし、やる気も出てくるのではないか。

企業の価値を生み出しているのは労働者なのだから。なぜなら機械や原材料は購入価格をそのまま製品に移し変えているだけだが、労働者だけが「常に考える」ことによって生産効率を上げ、自分に支払われた価値以上の価値を生み出すことができるのだ。だから企業は労働者を大切にし、上から押し付ける提案制度ではなく、下からの自主的な「改善」がどんどん出せて、それを実行できるような職場環境を作っていくことを第一にしなければならないと思う。

管理主義と「ホウレンソウ」を振りかざし、労働者を大切にしていない経営者に是非読んで欲しい一冊だ。

「1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる」 山田昭男著 東洋経済新報社 2012年8月23日発行 1500円+税
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by irkutsk | 2012-09-09 21:08 | | Comments(0)