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「人生逆戻りツアー」を読みました(9月19日)

「人生逆戻りツアー」を読みました(9月19日)_d0021786_21484885.jpgこの物語は主人公のクロードが64歳の人生を終えたところから始まります。長年飼っていたネコのナターシャのひ孫にあたる子猫が、木に上って降りられなくなっていたのを助けようとはしごをかけて上っていたら足元がすべって後ろにひっくり返って死んでしまったのである。

クロードは魂の領域へと旅立ったのだった。そこは何もない白い平原で、そこで自分の守護天使だと名乗る3人の天使と会った。そして自分の姿が見たいなと思うと瞬時に鏡が現れる。この世界では思ったことがすぐに実現するらしい。

そして彼の守護天使たちは彼を回想の旅へと連れて行くのだった。50歳のクロード。フランスの田舎町にあるスーパーマーケットで朝7時半から働いていた。そして生クリームが欲しいというお客の対応に追われていた。なぜかその日は生クリームがよく売れて、生クリームは品切れになっていた。お客はぷりぷりと怒って帰って行った。そして天使たちは生クリームを買い占めたのも、店長の機嫌を悪くしたのも、彼の店がチェーン店で下から二番目の売上しかないというのも全部天使たちの仕業だったと言う。そしてそれはクロードに思い出して、自由な人生を選びなおして欲しかったからやったことだと言う。

そして次の回想はある朝、起きると股間がどろどろで大出血している。びっくりしたクロードは重大な病気だと思い込み、医者に行くから休むとスーパーに電話する。ところがよく見てみると、それはネコのナターシャが彼の股間で出産したためだったというのがわかった。安心すると共に、せっかく休みを取ったのだからドライブに行くことにした。森へ行き、ひとり木の切り株に座って神様に「この先何を目標にしていったらいいのか、そもそも目標を持つことに意味があるのか、それに夫婦って何なのか、どうして嫌いでもないのに離婚したりするのか、だいたい人生って何ですか、なぜ人間は生まれてくるのですか、なぜ生きなくてはならないのですか」と聞くのだった。

そこへ6~7歳の男の子がそばにいて、「おじさん、どうして泣いているの」と聞く。そしてこどもにおじさんは何をしている人かと聞かれ、画家だと言う。そして彼は子供の頃、画家になりたいと思っていたのを思い出した。男の子はシャルルという名前で、将来昆虫博士になりたいという夢をもっていた。でも彼の両親はそんな夢を見ていないで、ちゃんと学校に行けとシャルルを叱るのだった。

クロードも子供の頃絵を描くのが得意だった。ある日学校でクリスマスや神様に関することなら何でもいいので絵をかいてくるという宿題が出された。クロードはスケッチブックをもって森に行き、葉のすっかり落ちた木の小枝の先に金色に光る雫が一つ、今にも落ちそうに光っているのを見つけ、彼はその中に神様を見、そしてその雫をスケッチしたのだった。次に風に揺られて冬眠するみの虫を描いた。蓑虫はその中でいい夢を見て、幸せな気持で春を待っているように思えたのだった。さらに雪の下から一粒のどんぐりを見つけ、この一粒から芽が出て、何年もかかって大きな木になる。そしてその大きな木は何千というどんぐりをつけ、その子供が育ちまた数千の実をつける。そのことに感動したクロード少年はどんぐりをスケッチしたのだった。

そして翌日、学校でその絵を見せると、みんなは笑ったのだった。そして彼はうちに帰って来てしまった。両親がどうしたのかと聞くのでわけを話すと、その絵を見せろというので見せたが、両親もわかってはくれなかった。クロードは家を飛び出し、森でスケッチブックをビリビリに破って捨てたのだった。

クロードはまた、583回目の過去生を天使たちに連れられて見に行く。スペインの農村に女性として生まれていた。結婚して女の子がいた。その子は踊りが好きで「私、大きくなったら踊り子になる」と言っていたが、母親は「お前の踊り上手はわかるけどね、大きくなったら私と同じようにどこかの嫁さんになるんだよ。神様がそのように決めてくださっているのだから。それに踊り子なんてものでは食べていけないんだよ。誰かに恵んでもらわないとね。まだお前は小さいからわからないだろうけど、あの世界には何か恐ろしいものが隠れていて、悪いほうへ誘惑するんだ」と言って彼女の夢を押しつぶしてしまったのだった。彼女は親の言うとおり結婚し、子供が二人できたが、ある日手首を切って自殺したのだった。

子供の夢を押しつぶして、とうとう死へと追いやった前世のクロードは死んだ後、そのことの間違いを反省し、次は同じ間違いをしないと誓って584回目の生をスタートさせたのだった。そして彼は妻のイレーヌが、子供たちが手を離れた時、自分がやりたいとずっと思っていたモデルの仕事をやりたいからという理由で、そして彼にももう家族のことを心配しなくていいから自分のやりたいことをやって欲しいという思いで、彼に離婚を申し出たのだった。クロードには彼女の気持がわからなかった。そして彼女は彼の元を去って、パリの娘のところへ行ってしまう。天使たちとその場面を回想し、イレーヌがどんな気持で彼の元を去っていったのかを初めて知るのだった。

その後、彼は神様と直接話しをするのだが、神とは何なのか?
人が何をしようとしてこの世に生まれてきたのか、それをちゃんと実行しているか。死んだ後、自分の一生を回想してみたとき、悔いが残らないか。

「この領域では、自分の与えた影響がどのようなものだったのか、他者の立場から回想体験できる。そして他者に対して行なった愛情や奉仕をそのまま受け取ることができる。そして他者に対して行なった不親切、嘘、冷酷、残忍な行為はそのまま受け取ることになる。この世界には地獄はないだろうが、そのような者にとってこの回想は地獄に似た苦しみを伴うだろう」という言葉が印象的だった。

「人生逆戻りツアー」 泉ウタマロ著 株式会社プレジデント社 2010.6.24発行 1143円+税
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by irkutsk | 2012-09-19 21:48 | | Comments(0)