「プロメテウスの涙」を読みました(10月26日)
一方、涼子の学生時代の親友、祐美はアメリカのワシントンDCのG大学にいて、刑務所の受刑者のカウンセリングをやっている。そこに収容されているミスターSは強姦と殺人の罪で死刑囚だったが、刑の執行はなされたがなぜか死ななかった。その彼ももう80歳を超えており、癌が全身に散らばっていて、がん細胞がないところを探すほうが難しい。余命半年と診断されたのが20年以上前。
この二人にどういうつながりがあるのか?あや香の病気は治るのか。アメリカの死刑囚は死ねるのか。輪廻転生としか考えられない状況で二人の精神科医はどんな結論を下し、二人を病から、そして死ねない苦しみから解放できるのか。
プロメテウスは「火」を盗んで人類に渡し、その罪をとがめられ、ゼウスにカウカソス山の山頂に磔にされます。そして生きながらに禿げ鷹に肝臓をついばまれる責め苦を負うが、プロメテウスは不死であるために、彼の肝臓は夜中に再生し、のちにヘラクレスにより解放されるまで、半永久的な拷問がおこなわれていたのだった。死刑囚Sがまさにこのプロメテウスと同じだったのです。
手に汗握るストーリーの展開に、ついつい夢中になって読み進みました。
本のタイトルに惹かれて、本屋で文庫本になったのを立ち読みしていて、おもしろそうだったので、図書館で借りて読みました。
「プロメテウスの涙」 乾ルカ著 株式会社文芸春秋 2009年4月25日発行 1524円+税