「あなたはお金のしくみにこうして騙されている」を読みました(4月22日)
現在紙幣を発行できるのは中央銀行だけである。その中央銀行がお金の流通をコントロールしているが、そのやり方次第で経済がインフレになったり、デフレになったりするという話も書かれています。
90年のバブル崩壊はどうして起こったか。日銀が窓口指導と称して、各民間銀行に対して融資額を直接割り当て、80年代以降その額が急増した。そしてバブルがはじけ、日銀の窓口指導も91年に廃止された。
その後1998年に日銀は独立した。1942年から1998年の独立まで日銀は国営化されており、大蔵省に監督されていたため、自由な金融政策を行うことができなかったのである。不況の原因はそこにあるとマスコミや識者は論陣を張り、98年に独立させたのである。
その後の日銀はデフレ、不況対策としてゼロ金利を導入した。しかし土地や株などの担保価値が下落していたため銀行貸出は増えなかった。一方で政府は大量の国債を発行したが市場のお金は増えず、やがて小泉の構造改革へと突き進んだ。
小泉の構造改革とは日本型の産業中心の経済システムを破壊し、米国型の市場経済システムを導入しようというものだった。当時アメリカはITバブル、その後の不動産バルで湧いていた。
小泉構造改革で何がもたらされたか。外資などの規制緩和、株主の権限拡大、役員報酬の拡大、外資企業による日本企業の買収、従業員の給料である労働分配率の低下などである。
左ページにはイラストがあり、右ページにその解説があるという構成で、非常にわかりやすく読めました。
発行が2年前なので、著者が今のアベノミクスをどう見ているのかわらないのが残念です。
「あなたはお金のしくみにこうして騙されている」 天野統康著 徳間書店5次元文庫 2011年1月31日発行 686円+税