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「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」を読みました(4月27日)

「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」を読みました(4月27日)_d0021786_9535626.jpg「はじめに」で著者の出雲氏は次のように述べている。「エネルギーの枯渇、地球温暖化、食料・栄養不足など、これら途方もないくらいの大きな問題を前にすると、人類が果たして解決できるのか、絶望的な気分になってくる人が多いのではないだろうか。でも大丈夫。実は解決できる。その主役こそ、およそ5億年前に地球上に生まれた単細胞生物、ミドリムシ(学名ユーグレナ)だ。」と言っている。

この本は世界で初めてミドリムシの大量培養に成功したユーグレナという会社の誕生の物語である。

著者の出雲氏は1998年東大一年生のとき、グラミン銀行のインターンとしてバングラディシュで1カ月を過ごした。そこで彼が見たものはコメや小麦などの炭水化物で飢えをしのいでいる人たちだった。野菜や肉や魚をバランス良く食べることでビタミンやタンパク質を摂取することが必要なのだが、バングラディシュではそれらの栄養素を取ることができず、慢性的な栄養不足に陥っている。

大学では文科三類から農学部への転学を果たし、そこでミドリムシとの運命的な出会いを果たしたのだった。「ミドリムシは体内に葉緑素を備えていて、光合成を行い、植物性の栄養素を作り出す。それと同時にミドリムシは自ら動く性質を持っており、動物性の栄養素を作ることができる」というすぐれものだった。

ところがその培養は難しく、月産耳かき1杯と言われていた。どうしてそんなに培養が難しいのか。「簡単に言えば、ミドリムシは「美味しすぎる」のだ。培養している間に、他の微生物が侵入してきて、あっという間にミドリムシを食い尽くしてしまうのである」。

大学卒業後、三菱東京銀行に就職するが、起業への夢は捨てず、10年後には起業しようと思っていた。しかし、プレジデント社の原氏に相談したところ、「10年経ったら、辞めるってのは、お前、ずっと辞めないってことだよ。先延ばししているだけだ。俺がそうだったから、間違いない。一生後悔したくなかったら、いま、辞めるべきだ。ミドリムシに人生をかけてみろ」と背中を押され、1年で三菱東京銀行を辞める。

大学を辞め、ベンチャーの経営者に会社の手伝いをしながら、自分の起業の準備を進めることになった。その後、堀江貴文氏とも知り合い、ライブドアからオフィスの間借りと資金を支援してもらうことが決まり、2005年に「ユーグレナ」を設立した。12月にはミドリムシの大量培養に成功し、順風満帆の船出に思えた2005年だったが、翌年ライブドアに東京地検特捜部の強制捜査が入り、会社はピンチに立たされる。ライブドア関連ということで取引先が一斉に手を引き始めた。そこで、ライブドアの所有する株式を全て買い取って、ライブドアとの関係を断ち切った。

その後も、何度も危機に立たされるが、周りの人達の協力や援助によってその危機を乗り越え、2012年12月20日に株式を上場するまでになった。

ミドリムシの事業はサプリメントや食品としての販売から始まり、今ではジェット機の燃料をミドリムシから作るという研究がJX日鉱日石と共同で進んでおり、伊藤忠商事、全日空、日立プラントテクノロジー、清水建設などの協力も得て、実用化の目処が立っている。

これからが楽しみなミドリムシ君の物語でした。

「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」 出雲充著 ダイヤモンド社 2012年12月18日発行 1500円+税
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by irkutsk | 2013-04-30 09:53 | | Comments(0)