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「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました(5月6日)

「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました(5月6日)_d0021786_20212422.jpg高校時代の仲良し5人グループ、田崎つくる以外の4人には共通点があった。名前に色が含まれていた。二人の男子は「赤松」と「青海」、二人の女子は「白根」と「黒埜」だった。お互いを色で「アカ」「アオ」「シロ」「クロ」と色で呼び合っていた。田崎つくるは“つくる”と呼ばれていた。高校を卒業し大学は“つくる”一人だけ東京の大学へ行ったが、残りの4人は地元名古屋の大学に進学した。

東京から帰ってくるときまって5人で集まっていた。ところが大学2年の夏休みに名古屋へ帰省した“つくる”は、いつものように4人に電話をかけたが、4人とも外出しているということだった。翌日電話しても同じだった。そして青海から「これ以上電話をかけてほしくない」という電話があった。「どうしてそういうことになったのか、できれば理由を聞きたい」と言ったが、「自分で考えればわかるんじゃないか」と言われた。

その後、“つくる”は東京へ戻るが、半年間死ぬことだけを考えてすごしていた。

そして16年後、“つくる”は知り合った2歳年上の女性、沙羅にこのことを話す。そして彼女は4人の消息を調べ上げて“つくる”に教え、彼らと会って話をすることが“つくる”にとって大事なことだと思うと言う。

“つくる”は5月の終わり頃、週末に繋げて休みを取り、アオとアカに会いに行く。最後はフィンランドのヘルシンキに住むクロを訪ねていく。かつての仲間たちのもとを訪ねて16年前の真相を聞きだすのが、いわゆる彼の巡礼の旅というわけだ。

“つくる”が4人の仲間からはじき出されて、死ぬことを考えていた時期から立ち直った後、2歳年下の灰田と友達になる。彼と過ごした9か月あまりのことや灰田から聞いた灰田の父が学生時代、大分県の山中にある旅館で働いていたときに知り合った不思議な男“緑川”の話などが“つくる”の話とどこで交わっているのかよくわからなかった。

「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹著 文藝春秋 2013年4月15日発行 1,700円+税
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by irkutsk | 2013-05-06 20:21 | | Comments(0)