「日本の幽霊」を見に行きました(6月15日)
物語は1942年から1962年にわたる20年間のヒロシマに程近い海辺の町磯浜町の旧家須波果実園を舞台に展開する。
この磯浜の町から南方3キロに、瀬戸内海に浮かぶ美しいこじま、花之島が望まれた。漁師の広安軍造や農業を営む高崎ツル等この島の島民たちに、突然強制たちのきの命令が下されたは昭和2年の春。そして、静かだった島に、陸軍の兵器工場の建設が始まったのでさある。
折しも大不況の中、工場建設は花之島景気と呼ばれ、磯浜の町や近在の町々から大歓迎を受けた。どんな兵器を製造するのかも知らず、知らされず、、皆こぞって行員を志願したので去る。
昭和17年。戦争が激化する中、徴用工、中学生、女学生までが工場に動員されるようになった。国鉄呉線の海側に面する窓には厳重な目隠しが施され、花之島の名はいつの間にか地図から消されていた。そして工場では、皮膚炎や火傷を負う者、原因不明の病いで死亡するものが続出した。
磯浜の町では誰が作ったのか、奇妙な歌が人々に口ずさまれるようになった。
ゆうれい ゆうれい ゆうれいは なんでも 嗅ぎつける
ゆうれい ゆうれい ゆうれいは なんでも お見通し
貧乏神や 死神の 手先がいれば
うらめしや うらめしやアと 呪いをかける~
毒ガス製造工場が作られた花之島。戦中はもちろん、戦後も毒ガスの被害を受けた住民や工員たちは健康を蝕まれ、それを国に訴えても雀の涙のような保証しかもらえない。戦争で花之島の住民や那須家の人たちの運命が大きく狂わされていく。そしてそれは戦後も続くことに。
戦争の悲惨さを訴えるいい演劇でした。