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「虚空の旅人」を読みました(6月18日)

「虚空の旅人」を読みました(6月18日)_d0021786_934150.jpg上橋菜穂子の「守り人(もりびと)シリーズ」4冊目の「虚空の旅人」を読みました。前3作は女短槍使いのバルサが主人公の作品でしたが、本作品では新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが主人公で、バルサは登場しませんでした。

本書の著者のあとがきでも書かれていましたが、この「虚空の旅人」は「シリーズの流れを大きく変えた重要な一冊でした」。

さて今回の話は新ヨゴ皇国の南西に位置し、半島といくつかの島々を支配しているサンガル王国の話です。サンガル王国の皇太子が国王になる儀式に招待されたチャグムは星読博士で、チャグムの学問の師でもあり相談役でもあるシュガとともにサンガル王国へ向かいます。

ちょうどその時、サンガル王国では5歳の女の子エーシャナが<ナユーグル・ライタの目>になったと大騒ぎでした。ナユーグル・ライタというのは海の中で暮らすもうひとつの世界の海の民のことで、彼らは海上では暮らせない。二つの世界が平和にすみ分けているのだが、ときおりナユーグル・ライタが、海上の世界をのぞきにやってくることがあるという。ナユーグル・ライタが海上へ上がってくるのではなく、こちら側の人間の魂を吸い取って、その身体を乗っ取ってしまうのだ。5歳くらいの子供が多いのだが、突然宙を見上げて、異国の言葉で歌い始める。そうなるとその子は、ときおり異国の歌を歌うほかは、食べもせず、寝もせず、まるであやつり人形のようになってしまう。サンガル王国の司祭は「ナユーグル・ライタは<海の母の子ら>でサンガルの漁民に魚の湧く海を与えてくれる神のしもべたちなのだ。だから彼らに人の世の悪しきものを見せず、王宮へ導きもてなしなさい。そして海に返すのだ」と王に進言したそうだ。

また、サンガル王国では娘の婿を島守として、島の統治を任せていた。ところが、長女カリーナの夫・アドルは南の大国タルシュ帝国から商人に変装してやってきた呪術師ラスグにそそのかされ、ほかの島の島守たちと結託してサンガル王国の王と皇太子を殺害し、タルシュ帝国の支配下に入ろうと密かに画策する。

サンガル王国はどうなるのか? チャグムはサンガル王国の危機にどう対処するのか。 <ナユーグル・ライタの目>となったエーシャナの運命は?

次々と展開する思いがけないストーリーについていくのが楽しくもあり、ハラハラ、ドキドキもし、先をどんどん読みすすめていく一冊でした。

「虚空の旅人」 上橋菜穂子著 新潮文庫 2008年8月1日発行 590円
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by irkutsk | 2013-06-18 09:03 | | Comments(0)