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「未来の働き方を考えよう」を読みました(7月26日)

「未来の働き方を考えよう」を読みました(7月26日)_d0021786_20395166.jpg年金資金が減ってきたので年金支給開始年齢を65歳にして、その代わり定年を延長して65歳まで働けるようになった。でもこれって変じゃないですか。政府の年金政策のミスのせいで今までより5年間長く働かなければならなくなり、更に今の若者たちは70歳まで働かなければならなくなりそうである。

いったい働くためだけの人生になってしまってもいいのかを問いかける本でした。

この本では、世界を変える3つの革命的変化としてIT革命、グローバリゼーション、人生の長期化の3つを上げています。IT革命とは市民のフェイスブックやツイッターがアラブの春を呼び起こし、その威力を知っている中国はさまざまな規制をかけている。しかし、本当にITが市民の武器たりうるのだろうか。CIAのスノーデン氏が暴露した国家による情報収集などもあり、お釈迦様の手のひらを飛んでいただけの孫悟空ではないだろうか。

グローバリゼーションは確かに企業活動がグローバル化したことにより推進されてきている。しかし一般に言われているグローバル化は、その本質はアメリカの制度を押しつけられることであり、真のグローバル化とは世界の貧富の格差を少しでも縮め、世界の人々が等しく文化的な生活をおくることができるようにすることではないだろうか。

人生の長期化は確かに平均寿命が延びてきており、人生80年が一般的になっている。20歳から働き始めて70歳まで働くと50年間働くことになる。その50年間をひとつの仕事に打ち込むよりも、40代でもう一度自分の仕事を選びなおしてもいいのではないかという著者の提案である。

第5章の「求められる発想の転換」では、今までの常識を覆す人生を本当に楽しむための発想の転換がふんだんに提案されている。たとえば人生の有限感。人生が終わるという瞬間が明日にもやってくるかもしれないということです。それに比べるとその他の不安など質的に及ばないところにあります。わたしたちが病気になる確率は40台から急激に上昇します。20代、30代は「ずっと続く未来」を想定していればいいけれど、40代を迎えたら「いつ終わるかもしれない人生」を前提として考えるのは確率的にも意味のあることなのです。

健康上の問題で飛行機に乗れなくなったり、食事制限のためツアーに参加できなくなったり、脚が悪くなって階段の多い広大な遺跡には行けなくなる。歯が悪くなって食べられるものに制限が出てきたり、目が悪くなって長時間の読書やパソコン作業がつらくなるかもしれない。だから絶対にやりたいことは「いつか」ではなく「今」やっておくべきなのです。

長生きリスクに対して経済的に完璧に備えるのは不可能で100歳を超えるまで生きても自費でやっていけるほどの資産形成ができる人などほとんど存在しません。それなのに多くの人が今やりたいことを我慢してまで、とめどなく長生きの経済的リスクに備えようとします。心から楽しいと思える生活を封印して、できるだけ節約して貯金を増やす、これがベストだろうか?人生があと10年だとしたら?自分はどう過ごすだろうか?

多くの人がお金のない人生を不安に思います。でもそれよりつらいのはやりたいことの見つからない人生です。「心からやりたいこと」が見つかるのは僥倖といえるほどラッキーなこと。能力やお金があるなどという条件とは比べられないほど恵まれたことです。

残り少なくなってきた人生、やりたいことを思いっきりやって、悔いのない人生にしたいと思わせる本でした。

「未来の働き方を考えよう」 ちきりん 文芸春秋 2013年6月15日 1300円+税
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by irkutsk | 2013-07-26 20:40 | | Comments(0)