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「旅の途中で」を読みました(8月11日)

「旅の途中で」を読みました(8月11日)_d0021786_15441184.jpg高倉健さんの「旅の途中で」を読みました。彼の書いたエッセーです。生きることとはなにか。常日ごろの私たちの心の持ち方について体験をもとに語っています。

ほかの人たちも言っていますが、傍から見ていると大変な仕事をやっている人にとって、それは大変でもなんでもなく、楽しいからやっているのだ。

また、終わりの方で大阿闍梨(だいあじゃり)・酒井雄哉師との対談があり、そこでは酒井さんが毎日毎日が違う、「一日一生」なんだといっています。「今日の景色と明日の景色と、自分の歩いている感覚、気持ちとか毎日違いますから。だからおもしろいんですよ、人生というのは、また歩くということも。」

高倉健さんはイラン映画「運動靴と赤い金魚」を見て「物欲まみれになっている国の人々に、経済的に豊かなことと、心が豊かであることがこんなに違うんだということをとても控えめに伝えてくるこの映画は本当にすばらしいと思いました」と書いています。

また中国映画「初恋の来た道」で、どんぶりの修理屋さんに修理を頼むシーンがあるのですが、そのシーンで次のような会話がありました。
「こんな安物のどんぶりだったら、もう新しいの買っちゃった方が安くつくよ」
「いえ、わたしの娘がとっても大切に思っている人が、そのどんぶりでものを食べたの。彼女にとって思い出の品だから、修理してあげたい」
「そうか、思い出は大切にしなきゃな」
そして高倉健さんは次のように言っています。
ものを大切にするというよりも、人の想いを大切にするっていうことをおじいさんがわかっている。そのことに感動してしまいましたね。

そしてわたしが一番感動したのは次のような言葉でした。
「人間にとって一番寂しいのは、何を見ても、何を食べても、何の感動もしないこと。感動をしなくなったら、人間はおしまいだと思うんですね。こんなに寂しいことはないと思います。人間にとって一番ぜいたくなのは、心がふるえるような感動。お金をいくら持っていても、感動はできない人にはできません。感動とは何でもいいんじゃないでしょうか。美しいとか、旨いと感じるとか」

映画の中の健さんもかっこいいけど、彼の考え方、生き方もかっこいいですね。

「旅の途中で」 高倉健 新潮社 2003年5月30日発行 1800円+税
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by irkutsk | 2013-08-11 15:44 | | Comments(0)