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「硝子の葦」を読みました(10月7日)

「硝子の葦」を読みました(10月7日)_d0021786_9573074.jpg今年、「ホテルローヤル」で直木賞を受賞した桜木紫乃さんの作品です。

構成がなかなか凝ってました。北海道釧路市からさらに東に行ったところにある厚岸という小さな町で刑事が飲み屋で飲んでいるシーンから始まります。その時、近くの店から爆発と共に火の手があがり、駆けつけると一人の男が「中に人がいるんだ」と炎に近づこうとしていた。

焼け跡から発見された性別不明の焼死体はその男の証言により「幸田節子 三十歳」と発表された。

その後、12月20日の夜明け前、節子の夫・幸田喜一郎が死んだ。

話は8月2日に戻り、ラブホテルの社長・幸田喜一郎と節子が朝、起きたところから始まる。喜一郎はパバロッティの新しいベスト版が手に入ったので、車の中でドライブしながら聞いてくるといって出かける。節子は喜一郎の三人目の妻である。しかも彼は節子の母・律子とも関係があったのだ。

節子は以前勤めていた会計事務所の澤木との関係を続けており、この日もホテルの前月分の伝票を持って行き、ついでにイタリアンレストラン昼食を共にした後、ホテルへ行く。その後、短歌の月例会へ行く。その日は節子が出版した歌集「硝子の葦」の披講会だった。

この短歌の会でいつも小学2年生になるまゆみを連れてきている佐野倫子という女性がいた。ふとしたことからまゆみの身体にあざがいくつもあるのに気づき、虐待を受けているのではないかと思うが、自分には関係ないことと、係わり合いにあることを避けていた。

その日、夫の喜一郎が交通事故で病院に運ばれたという連絡をもらって駆けつける。喜一郎は急カーブを曲がりきれなくてぶつかったという。単独事故だった。医師の説明によるとこのまま意識が戻らないかもしれないという。

そんなある日、病院でまゆみが待っていて、「少しのあいだ、この子を預かってください。私の携帯は使えない状態です。必ず迎えに行きますので、どうかお願いします」と書かれたメモを差し出した。

まゆみの家庭での事件と節子の事件が重なるように起こり、最後にどんでん返しを食らって、作者の目論見に完全にはまってしまいました。

「硝子の葦」 桜木紫乃著 新潮社 2010年9月30日 1600円+税
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by irkutsk | 2013-10-07 09:57 | | Comments(0)