「日本自立のためのプーチン最強講義」を読みましたPart1(12月27日)
プーチンの講義は次の5つよりなっています。
第一講義 「孤立」と「自立」のどちらを選ぶか-領土問題と外交政策-
第二講義 食糧の自立はどうやって成し遂げるか-TPPと日本の食糧安保
第三講義 「自立」のためのエネルギー政策とは-脱原発とエネルギー自給率100%は可能か-
第四講義 「経済成長」と「財政再建」をいかに両立させるか-アベノミクスの危険な落とし穴-
第五講義 「核兵器信仰」は日本にどんな危険をもたらすか
エピローグ プーチン「最後のスピーチ」
第一講義では、中国は韓国、ロシア、そしてアメリカとも手を組んで日本を孤立化させて、袋叩きにしようとしている。尖閣諸島だけでなく、沖縄も中国領だと主張している。そんな状況の中、日本はどうすべきか?プーチンの公式では「敵と戦わないのが一番いい」。それでも戦う羽目になったら、仲間をたくさん集めて相手にあたる。「孤立=破滅」と心得るべしというものであった。
戦前日本は中国東北地方に傀儡国家・満州国を作り、それが国際連盟で否定され、日本は国際連盟を脱退してしまいます。その後日本はABCD包囲網でエネルギーの供給を断たれ、エネルギーを求めて南進政策をとりました。また第二次世界大戦でドイツとの戦争に参加したかったアメリカは、日本に真珠湾攻撃をさせて、それを口実に第二次世界大戦に参加することになったのでした。当時アメリカではモンロー主義に代表される孤立主義の伝統があり、ルーズベルト大統領は選挙において「あなたたちの子供を戦場には出さない」ということを公約していた。
そして今、中国は日本を孤立化させようと手を尽くしています。その中国の手に乗って、1945年体制の見直しや、東京裁判について勝者の論理で行われた裁判だとか、かつての戦争で亡くなったA級戦犯や軍人を英雄視することは中国の思う壺です。
著者の北野氏は、だから日米関係を片務的なものではなく、双務的なものにする必要があるといっている(つまり集団的自衛権を憲法解釈で認めるということ)が、好戦国家アメリカの尖兵として日本の自衛隊が使われ、多くの日本人が殺されることをすすめることは疑問です。もし集団的自衛権を認めなければアメリカは日本を守らないでしょうか?そんなことはないと思います。中国の進出を一番懸念しているのはアメリカですから。それに日本はアメリカにおんぶされているだけではなく、日本各地に広大な米軍基地を提供し、その維持費を負担しているのですから、片務的だからアメリカは日本を守ってくれないというのは間違っていると思います。
「日本自立のためのプーチン最強講義」 北野幸伯著 集英社インターナショナル 2013年11月30日発行 1600円+税