「日本自立のためのプーチン最強講義」を読みましたPart2(12月27日)
こんなデメリットだらけなのに、何で交渉に参加するのか。それはアメリカに要求されているからです。TPP交渉とは言うものの名ばかりで、アメリカの要求の被害をどれだけ食い止められるかという話です。
日本の食糧自給率はカロリーベースで39%、生産額ベースで66%です。品目別に見てみると、米95%、いも類77%、野菜79%、牛肉43%、豚肉50%、小麦類14%、大豆5%です。食糧は安い外国から買えばいいじゃないかという意見もあります。しかし食糧危機が起きたとき、どの国も自国の食糧を優先的に確保し、禁輸や輸出量の削減などを行います。2007~08年に実際に食糧危機が起こり、多くの国が米や小麦の輸出制限や禁止をし、穀物価格が急騰しました。北野氏は「食糧危機と輸出制限が繰り返される可能性があるかぎり、国民の命を守るため、食品関税(特に米)の完全撤廃はできないとはっきりいうべき」であると言っています。
米の関税が撤廃されたら、安価な外国米(日本米の約5分の1)が大量に入ってきて、日本農業は壊滅的な打撃を受けます。日本の米はうまいと言っても、日本人が作れるものは中国人も韓国人も東南アジアの人もたいてい作れます。日本で生き残れるのは米で言えば10ha以上の農家ですが、彼らも技術を持って賃金の安い外国へ移り、工業と同様、農業の空洞化が進み、食糧自給率はますます低下することになります。
また洋食化が食糧自給率の低下に関係しています。パンを作る小麦類はわずか14%、牛肉43%、豚肉50%(国産が50%近くあるが、畜産に必要な飼料はほとんど輸入に頼っている)です。
日本の食糧安保を確保するのに大切なことは、ますコメの関税を守ること。その上で日本食を復活させればよい。学校で完全米飯給食を実施し、子供の頃からご飯を食べる習慣をつければ大人になってもご飯を食べます。
世界で日本食がブームになっているのは、身体にいいからです。カロリー過多になる洋食を食べ続けた結果、肥満や成人病に悩む人が増え、医療費が増大しています。洋食から和食への流れを政策的に作ることはさまざまな面でプラスになるのではないでしょうか。
「日本自立のためのプーチン最強講義」 北野幸伯著 集英社インターナショナル 2013年11月30日発行 1600円+税