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「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」を読みました(1月29日)

「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」を読みました(1月29日)_d0021786_13574121.jpgこの本は2010年年末に発行された「沈む日本を愛せますか?」の続編である。司会は渋谷陽一、そして思想家であり武道家でもある内田樹と作家・文芸評論家の高橋源一郎の対談集である。

「はじめに」で季刊誌「SIGHT」の編集長・渋谷陽一は3・11は日本のシステムが危機に対応する能力を失っている。そして今、3・11がなかったかのように原発を再稼動させなければ日本は大変なことになると言っている。日本を変えなければならないと思っているのだが、どう変えたらよいのかわからない。政治やマスメディアは右肩上がりの幻想、を語っている。われわれが考えるのはそれとは真逆である。今、われわれが必要としているのは新しい日本の愛し方の思想だと言っている。

対談は2010年11月24日の「浮き足立つな。まあ、座って、お茶でも一杯」という対談から始まり、震災後の2012年2月14日の総括対談「2011年3月11日以降、我々はこう生きている」まで計7回行われている。

内田樹は武道家であるので身体性というものに重きを置いて考えており、記号化、抽象化ということがわれわれの生活を息苦しくしていると考えている。55年体制は「金さえもらえりゃいいんだろう」の世界で、金を行動基準にしてしまった日本人の貧しさを嘆いている。そして山口県の祝島で30年間原発反対運動を続けている島民の人たちの中にあるべき未来の共同体の姿を見出している。

そして、高橋源一郎は「国土の保全と国民の健康がまず大事で、そこに向かってOSを書き換えなければならないのに、政治家たちは相変わらず金と成長を追い求めている」と言っている。

最後に総括対談で内田は「日本はかくあるべきだというようなことをマススケールで言うのではなく、「人はいいから、オレの仕事はオレがやるよ」っていうふうにスタイルが明らかに切り替わったと思う。そういう場は身銭を切って、自分で汗かいて作り上げるしかない」と言っている。

閉塞感漂う日本の現状だが、新しい息吹を見出したような気がした一冊でした。

「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」 内田樹、高橋源一郎対談 ロッキング・オン発行 2012年6月30日 1500円+税
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by irkutsk | 2014-01-29 13:57 | | Comments(0)