「街場の五輪論」を読みました(3月5日)
この本は内田樹、小田嶋隆、平川克美の3人が対談形式でオリンピックを論じている。まず、内田氏は2020年オリンピックが東京に決まったのは日本が一番安全だからだと言っている。戦後68年間、日本国憲法のおかげで外国に軍隊を出すことなく、外国の戦闘員を一人も殺したことがない。だから平和憲法のおかげでテロの危険がない東京に決まったのだ。
オリンピックは99%金儲けで、そのためには総理大臣が「福島原発は完全にコントロールされている」と平気で嘘をつく。そして「オリンピック招致反対」ということを言わなくなった、言えなくなった状況と言うのはかなり危険ではないかと言っている。地殻変動的な社会の変化の予兆を感知し、「その「野生の勘」が五輪開催によって日本社会のさまざまなシステムの劣化と崩壊は加速するだろうと告げている。問題は、私のほかにそういう風に感じている言論人がいない、あるいはいるけれども発言を控えているということである」。
「日本社会では、どのような論件についても無力感や恐怖感を感じることなく、自分の意見を述べる権利が保障されているということを公的に確認するために、どんなに賛同者の少ない少数意見であっても、一応言ってみるというのは大切なことである。」
「正直言って、私たちは「五輪なんかどうだっていい」と思っている。でも「だから黙っている」という選択肢はどうも許されないような言論状況であるので、この本を作ることになった」。
オリンピックで経済効果がいくら、いくらと声高に言われている。オリンピックのためにと国家予算(増税される消費税も含め)と都の予算が使われる。そのお金で儲ける人がいる一方で、オリンピックのせいで犠牲になる人もいることを忘れてはならないだろうと思う。
「街場の五輪論」 内田樹、小田嶋隆、平川克美著 朝日新聞出版 2014年2月28日 1200円+税