「親鸞」(下)を読みました(3月19日)
その日から範宴の新しい生活が始まった。一般の人にまじって念仏し、法然の語る言葉を聞く。そんなある日、若い娘に声をかけられる。紫野の腹違いの妹の鹿野という健康そうな娘だった。そして鹿野は自分が差配している烏丸へ来るようにと言う。
やがて範宴は法然上人に会うことができたが、その場で法然の教えを「危うい教え」だと言う。その後範宴は綽空と改名する。そして鹿野は綽空に心を打ち明けるのだが、綽空はまだ紫野のことを思い続けていると答える。打ちのめされた鹿野は法然の弟子で美しい声で念仏を唱え、女性に人気のある遵西のもとへいくのだった。
しばらくして紫野が、病が癒えたといって戻ってくる。彼女は恵信と名乗っていた。一方鹿野の行方は知れず、法然の弟子・遵西と行空は黒面法師と組んで、比叡山と対決しようとする。
そんな時、善信と名を改めた綽空の下へ、鹿野が法勝寺の八角九重塔でまっているという。駆けつけた善信を待っていたのは黒面法師で、二人を縛って、火をつけるという。だが鹿野はおなかに遵西の子がいると告白し、居合わせた遵西は彼女を助けようとする。結局、行空と黒面法師が焼け死んだが、この事件が法然弾圧の契機となった。遵西と住蓮は死罪を言い渡され、遵西は六条河原で斬首された。法然は土佐へ、善信は恵信の故郷、越後への流罪となった。
流罪を前に善信は名を親鸞と改め、越後へと旅立つのだった。
「親鸞」(下) 五木寛之著 講談社 2010年1月1日発行 1500円+税