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「なぜ男は女より早く死ぬのか」を読みました(3月25日)

「なぜ男は女より早く死ぬのか」を読みました(3月25日)_d0021786_10174454.jpgタイトルに惹かれて図書館で借りて読みました。

第1章でおもしろかったのは、ラバの話でした。ラバはメスのウマとオスのロバを掛け合わせ、母親のよいところ(大型で力が強い)と父親のよいところ(忍耐強く、粗食に耐える)を受け継いでいます。ところが逆にメスのロバとオスのウマを掛け合わせると家畜として利用できないそうだ。

卵子は大型の細胞で細胞質が大量に含まれているが、精子にほほとんど細胞質がない。細胞質にはミトコンドリアが大量に含まれており、核DNAとは違う独自のミトコンドリアDNAを持っている。だから卵子からは遺伝子DNAとミトコンドリアDNAが引き継がれ、精子からは核の遺伝子DNAのみが引き継がれると言う。だから子どもの性質・能力は母親の性質・能力のほうが強く反映されるのだそうだ。

無性生殖から有性生殖へと変化していったのは、無性生殖では数は増えるが、すべてクローンであり、環境の変化などがあった場合、全滅してしまう可能性が高い。有性生殖は有性生殖に比べて効率は悪いが、一方の遺伝子が壊れていてももう一方が正常であれば、修復されるし、子孫の遺伝的多様性を作ることができるので次第に有性生殖へと変化していったのだそうだ。

第3章では男女がどうやって決まるかという話で、人間の精子はXY、卵子はXXの染色体を持ち、その組み合わせによって受精卵が男になるか女になるか決まるのはよく知られている。ところが、X精子とY精子では重さが違い、Y精子のほうが軽い。だから受精卵の性比は女100に対し、男は120だ。だが男の受精卵は発生途中で死にやすいので出生時性比は女100、男102~107になるそうだ。

第5章ではいよいよこの本のタイトルの男はどうして女より早く死ぬのかについて考察されている。データ的にはすべての年代で男のほうが死にやすく、そのため平均寿命も男のほうが短くなる。殺人による死亡例も男のほうが多い。またガンにかかる率も男のほうが高い。ガンにかかる率は男女同じだが、ガンにかかった細胞を取り除く力が女性のほうが強いそうだ。

男はX染色体を1本しか持っていたにため、そのX染色体上に遺伝子の異常な突然変異があると発現するが、女はX染色体を2本持っているため、もう一方のX染色体に正常遺伝子がのっていればそれが働き、遺伝子の異常な突然変異があっても発現しない。血友病や赤緑色覚異常などにそれが見られる。

生物の生殖についてわかりやすく書かれた本でした。やはり男は女に比べて早く死ぬということがよくわかりました。でもこれは全体の傾向で、個別にはその逆もあるので…。

第1章 なぜヒトは男と女の2性なのか
第2章 男と女はどうやって決まるのか
第3章 実はあいまいだった男と女の区別
第4章 男と女の出会いの秘密
第5章 本当に男は生物学的に役立たずなのか
第6章 男女の概念をひっくり返したiPS細胞

「なぜ男は女より早く死ぬのか」 若原正巳著 SB新書 2013年12月25日発行 730円+税
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by irkutsk | 2014-03-25 10:17 | | Comments(0)