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「獣の奏者」1を読みました(4月4日)

「獣の奏者」1を読みました(4月4日)_d0021786_11462161.jpg 今年の3月24日、「国際アンデルセン賞」作家賞を受賞した上橋菜穂子さんの本です。

 「国際アンデルセン賞」作家賞を日本人で受賞したのは、先日亡くなられたまどみちおさん以来20年ぶりだそうです。上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズが好きで、つい先日読み終えたばかりだったので、やっぱりこの人なら受賞するのも当然だという思いでニュースを見ました。他の作品で何がお勧めかを友人に聞いたところ、「獣の奏者」だと言うことで、早速図書館で借りました。

 借りた本は児童用の青い鳥文庫でやたらと漢字にふりがなが打ってあり、難しい言葉の解説もついていて、やや読みにくかったのですが、読み終わって次を予約しようとすると、講談社文庫でも出ていました。青い鳥文庫の2冊分が、講談社文庫の1冊に入っているようですが、それを知らずに、講談社文庫の「獣の奏者」2を予約してしまいました。そのことに気付いて、いままた講談社文庫の「獣の奏者」1を追加で予約しました。

 さて、この物語は10歳の少女・エリンが主人公です。彼女のおとうさん・アッソンは闘蛇衆の頭領の息子で、お母さん・ソヨンは霧の民と呼ばれる流浪の民だった。だが二人が出会って、愛し合うようになり、お母さんは霧の民の掟を破って、一族以外の者と結婚し、一か所にとどまって生活するようになったのだった。お父さんの家族もソヨンのことはよく思っていなかった。アッソンはエリンが幼い頃になくなり、エリンは母親と二人で暮らしていた。ソヨンは闘蛇(戦のときに闘いに用いる巨大な蛇)の世話係をしていた。

 ところがある日、世話をしていた闘蛇10頭が死んでしまう。その責任を取ってソヨンは監察官の尋問を受け処刑されることになった。そのことを知ったエリンは母を助けようと、処刑場の沼に母の愛用の短刀を持って出かける。そしてソヨンが手足を縛られ、足に重りの石を付けられて沼へ放り込まれると、彼女を助けに飛び出したのだった。沼には野生の闘蛇たちが住んでおり、二人は彼らの餌となるだろうと、役人たちは思っていた。

 そして彼女たちの周りには何頭もの闘蛇が迫ってきていた。そのとき母のソヨンは指笛を鳴らし、寄ってくる闘蛇の1頭にエリンを乗せ、「角をつかみなさい!闘蛇の背にまたがるのよ!」と叫んだ。母親がまた指笛を吹き鳴らすと、闘蛇はエリンを乗せたまますざましい速さで西へ西へとすすんでいった。

 その後、エリンは湖の岸辺で倒れているところを蜂飼いのジョウンに助けられ、彼の介抱に寄って意識を取り戻した。55歳のジョウンはエリンの面倒を見ることに決め、彼女にも蜂飼いの仕事を手伝わせるのだった。エリンも蜂の生態に関心を持ち、ジョウンをよく手伝うのだった。ジョウンの留守にエリンはジョウンの本を読んでいた。それを見つけたジョウンはエリンにこれらの書物が読めるように教えてやることにした。またエリンは一度聞いた音楽をすぐに覚えて、それを歌うことができるという能力を持っており、ジョウンは彼女に竪琴の手ほどきも教えるようになった。

 そして夏の間、蜂たちを連れて湖畔の小屋から、ヤショ山の7合目にある夏の小屋へと移動した。飼っている馬と山羊も一緒に夏の小屋へ移動した。ある日ジョウンは以前この山の渓谷でチゴを見かけたことがあったので、エリンの嫁入りのためにいくばくかの金を得ようと、チゴを採りに出かける。チゴの根は内臓の腫れ物を治す特効薬だが、険しい山中の渓谷にしか生えていないので高値で取引されている。エリンは内緒でジョウンの後を追っていった。

 ジョウンはチゴを見つけ、谷を降りていたが、足元の崖が崩れ、崖を滑り落ちた。気がついたときには、エリンが目の前にいた。崖の途中の棚みたいになったところに二人はいたのだった。そこで一夜を過ごし、翌朝、下のほうから闘蛇の匂いがするのでのぞいてみると、下のほうに闘蛇が3頭、何かを狙っている。それは鳥の雛のようであるが闘蛇の頭よりも大きな体である。闘蛇たちがいっせいに鎌首をもたげ雛に襲いかかろうとしたその時、虚空からピーッという鋭い笛の音が鳴り響いた。翼を広げた巨大なものが空を滑空して、闘蛇の上に舞い降りていく。闘蛇は巣から頭をそむけ、まるでわが身を食ってくれと言わんばかりに、体を曲げて腹を上に向けていたのだ。翼のある親鳥は3頭の闘蛇を食いちぎり、食べてしまった。ジョウンによるとあれは王獣だという。エリンは闘蛇を無抵抗にした王獣の鳴き声と、母が自分を守るために吹いた指笛に同じものを感じ、指笛で闘蛇を操ることができるのかと思ったが、母はそれは決して使ってはいけないとも言っていたのを思い出したのだった。

「獣の奏者」(1) 上橋菜穂子著 講談社青い鳥文庫 2008年11月14日発行 580円+税
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by irkutsk | 2014-04-04 11:46 | | Comments(0)