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「日本経済撃墜 恐怖の政策逆噴射」を読みました(4月28日)

「日本経済撃墜 恐怖の政策逆噴射」を読みました(4月28日)_d0021786_132358.jpg植草氏は財務省が日本の経済を回復させない元凶だとして、次のように指摘している。

1.無駄な政府支出を温存している(ワタリや天下りの利権も温存)
2.このような放漫財政を支えるのには財源不足。そこで消費税を増税
3.それでも財源が足りなくなるので、社会保障費を削減
4.財政が主役で経済は脇役という考え(目先の銭だけを見ている)

そしてバブル崩壊後、2度の経済浮上のチャンスを破壊して暗黒の20年を作ってきたと言っている。1996年株価は22,666円まで上がったが、翌年1997年には消費税増税を含む超緊縮財政政策(所得税増税2兆円、社会保障費負担増2兆円、公共事業削減4兆円)でせっかく回復しかけた日本経済を再びデフレに陥れた。

2度目は2000年。この時も株価は20,221円まで上昇したのに、当時の森喜朗首相は財務省主導の政策路線に乗り、回復しかけた日本経済をだめにした。2000年4月にゼロ金利政策を解除し、翌2001年に登場した小泉首相も財務省主導の超緊縮財政政策を積極的に推進した。

3度目はサブプライムローン金融危機が、2003年から2007年にかけて緩やかに回復していた日本経済を直撃した。

そして4度目は2012年末から2013年前半にかけて円安によって回復しかけた。しかし2014年から消費税を8%に上げ、さらに2012年度補正予算の執行が2013年度にずれ込んでいたので、2014年度はその分のマイナス13兆円もあわせると、22兆円規模の緊縮財政となった。

植草氏は、アベノミクス効果は2013年前半で効果が切れており、超緊縮財政で株価も低迷を続けるであろうと予想している。

また財務省は国民のための政策をとらず、米国、官僚、大資本、利権政治屋、マスメディアなどの既得権益を守るための政策をとっていると批判している。安倍政権の成長戦略とは資本に優しく、労働に厳しい。農業の自由化では零細農家を消滅させ、大企業とりわけ外国資本に農業の支配権を供与。医療の自由化では貧富の格差に応じた医療制度に。解雇の自由化では、3分の1が非正規労働者で、彼らは年間所得200万円以下という現実をさらに厳しくしようというものである。

そして財務省は、日銀がいずれかの将来、激しいインフレを発生させることを切望している。得をするのは巨大な債務をかかえる大資本と日本政府なのだから。

植草氏は、日本経済回復のためには少なくとも20兆円規模の経済対策が必要で、それも中低所得者に対する購買力を付与するような政策でなければダメだと言っている。

日本の経済が回復しないのはどうしてかというのがよくわかる本でした。自民党政権というのは大資本にやさしく、国民に厳しいということが最近の政策を見ているとよくわかるのに、代わりになる政党がないというのが日本国民の不幸のようです。

「日本経済撃墜 恐怖の政策逆噴射」 植草一秀著 ビジネス社 2013年12月1日 1600円+税
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by irkutsk | 2014-04-29 13:01 | | Comments(0)