「獣の奏者Ⅱ 王獣編」を読みました(5月3日)
エリンは王獣の動きを止めてしまう「音無し笛」を使わずに、竪琴を使ってリランとコミュニケーションを図ることに成功する。そしてリランがエリンの言葉を理解しているということがわかる。ある日リランはエリンを乗せて空を飛ぶ。それを見て、ずっとエリンのことを監視していた霧の民の男が近づいてきて、<操者ノ技>を使わないようにと言う。
エリンが教導師長のエサルにリランが空を飛んだことを話すと、これからリランの飛翔訓練をするようにと言われる。エリンを乗せない限り空を飛んではいけない、空を飛んでも必ずここに帰ってくるということを覚えさせなさいと。
カザルム学舎に怪我をした成獣の王獣・エクが運ばれてきた。こどもの王獣を捕獲するときに誤って親を傷つけてしまったのだ。エリンが竪琴でエクをなだめ、怪我の手当てをする。やがて怪我が治ると、エクはリランと空を飛び、空中で交合したのだった。その結果リランは妊娠した。このことは王宮に報告せざるをえず、王宮では瑞兆と捉え、祝福と賞賛を伝えてきた。
真王ハルミヤがカザルム学舎を視察に来て、その帰り道、船で川を下っていると闘蛇を操る戦士たちが真王の乗る船を襲撃してきた。それをカザルム学舎から見ていたエリンはリランに乗って真王・ハルミヤを助けに行くのだった。リランがそれまでたてたことのない音を高く、長く響かせると闘蛇はいっせいに動きを止め、腹を上にして倒れ始めた。そしてリランは狂ったように闘蛇に襲いかかり鋭い爪でその体を引き裂いた。
真王・ハルミヤを襲ったのは誰なのか?闘蛇を操る大公なのか?それとも他の者なのか?
真王・ハルミヤは船の中で頭を打って、それが元で亡くなってしまった。孫娘のセィミヤが新しく真王となったが、まだ若く、彼女を操って支配しようと思う伯父のダミヤが、彼女に結婚を申し込む。ところが大公の長男シュナンも彼女に結婚を申し込む。
果たしてどちらがセィミヤの心をつかむことができるのか。そして真王・ハミルヤを襲ったのは誰か。
この「獣王編」で物語は完結したのだが、その後「探求編」、「完結編」の2冊が刊行された。
「獣の奏者Ⅱ 王獣編」 上橋菜穂子著 講談社文庫 2009年8月12日発行 695円+税