「持たない暮らし」を読みました(6月4日)
戦後、物がなく、心は荒れ果て、人々は物を欲しがっていた。物があることが豊かな生活だと思い込んでしまっていた。次から次へと新しい商品が売り出され、まだ使えるのに古いものを捨てて新しいものを買い求める。そんな今の日本の生活スタイルに疑問を感じ、シンプルな生活とはこうあるべきではないかということが書かれている。
シンプルな生活とは物を捨てることではなく、物を大切にすることだ。物を増やさないこと、つまり余分なものを買わないこと。物を使いこなすこと=毎日の暮らしの中で使ってやること。高いものだからと箱に入れ、紐をかけてしまっていてはいけない。いいもののなかで暮らせば心も豊かになるし、毎日が楽しくなる。
また、旅は人生の縮図と言い、「その旅をいかにシンプルに行動し、シンプルに、コンパクトに荷造りするか、旅をしてみるとその人の生き方が分かる」と言っています。そのとおりだと思います。3~4日の海外旅行でも、みんな大きなスーツケースを引いていますが一体何をそんなに持ってきているのだろうと不思議に思います。旅はできるだけ持ち物は少なく、現地調達できるものは持って行かないを私も心がけています。
ブランドについても、「日本では人に遅れる、人と同じでないと恥ずかしいという感覚ですが、これは「自分」がないから人が気になるのだ」と書いています。
この本を通じて、著者がもっとも言いたいことは「自分をもつ」ということだと思います。情報化社会と言われる現在、自分が情報を使うのではなく情報に自分が使われており本末転倒です。
またどうやって自分を作り上げるかについて、著者は次のように言っています。「人と同じことはしない。必ず違うことをする。自分で考え、自分で決めれば、その結果がどうなろうと納得がいく。自分で責任を取らざるを得ない。いつも人の考えにしたがっていると、自分で判断せず、自分で責任を取らず、一生人のせいにして生きてしまう」。
物を捨てるということを勧める本が多いなか、いい物を最後まで使い切るということが本当の「持たない生活」だということを教えてくれた一冊でした。
「持たない暮らし」 下重暁子著 中経の文庫 2008年2月6日発行 495円+税