「獣の奏者Ⅳ(完結編)」を読みました(6月24日)

d0021786_940939.jpg6月3日に読み終わった「獣の奏者Ⅲ(探求編)」の続きです。

結局エリンは真王の「王獣部隊を創るように」という命令を受け入れ、カザルム王獣保護場で王獣の繁殖と訓練を続けていた。一方、夫のイアルは闘蛇部隊に入っていた。息子のジェシは母親のエリンとともにカザルムに住み、カザルム学舎に入学していた。

そして刻一刻とラーザとの戦争のときが近づいてくるのだった。ラーザはリョザ神王国を攻める準備を着々と進め、闘蛇部隊も準備していた。そしてリョザの支配下にある隊商都市ウラムを闘蛇部隊で攻め、制圧したのだった。

そして西ウリシの大首領ノズグラからの密使が大公城を訪れ、「東部草原地帯の隊商都市のうち、ラーザ側に誓いウラム、イキシリ、トグラムの諸都市の領有権を完全に放棄すれば、リョザ神王国に近いイミィル、ホザ、カショルの諸都市の領有権はリョザ神王国にあるものと認め、今後、配下の諸氏族に軍事攻撃をしかけぬように厳しく通達する」という協定を受けるようにと迫った。

リョザ神王国では討議の結果、この提案を拒否することとした。そして戦いの火蓋は切って落とされたのだった。

リョザ神王国はエリン率いる王獣部隊がいるので、闘蛇部隊をやっつけることができると思っていた。エリンが前線のアマスルに着いた日の午後、カザルム王獣保護場に三人の旅人が訪れた。彼らは「戒律の民」と「残った人々」で神々の山脈の谷間から数か月かけてやってきたのだという。かつて神々の山脈のむこうで起こった王獣と闘蛇の戦いの惨事を知らせ、王獣と闘蛇の戦いをやめさせるためにやって来たという。

はたして王獣と闘蛇の戦いをやめさせることができるのか? ふたつの獣が闘うことによって一体何が起こるのか? リョザ神王国はラーザの軍隊から自国を守れるのか? 最後のクライマックスに向けて物語りは緊迫の度を高めていく…。

この<完結編>で「獣の奏者」シリーズは終わるが、人間と他の動物(闘蛇や王獣)との関係、人間のために動物の本来の生き方を歪め、人間に都合のよい形にしていくことについてエリンは疑問を持ち、彼らを野性に戻したいと考えていた。

この物語の中で主人公のエリンは息子のジェシに次のように言っています。
「人は殺し合いをやめない。これからも、きっと戦は続いていくでしょう。わたしたちは、ばらばらで、言葉を持っていても、思いは決し、思うようには伝わらない。でも……それでも人は、道を探し続ける。きっと人というのは、そういう生き物でもあるのよ」
「ひとは、知れば、考える。多くの人がいて、それぞれが、それぞれの思いで考え続ける。一人が死んでも、別の人が、新たな道を探していく。――人という生き物の群れは、そうやって長い年月を、なんとか生きつづけてきた。」

いろんなことを考えさせら、またハラハラドキドキ、時には親子、夫婦の愛情についてほろりとさせられるすばらしい物語でした。

「獣の奏者Ⅳ(完結編)」 上橋菜穂子著 講談社文庫 2012年8月10日発行 724円+税
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by irkutsk | 2014-06-24 09:39 | | Comments(0)